ドラマを象徴する意外な人物のセリフとは? 日曜劇場『海に眠るダイヤモンド』の玲央のオチが秀逸だったワケ。最終話考察
神木隆之介主演の日曜劇場『海に眠るダイヤモンド』(TBS系)が完結を迎えた。本作は、1955年からの石炭産業で躍進した長崎県・端島と、現代の東京を舞台にした70年にわたる愛と友情、そして家族の壮大な物語だ。今回は、最終話のレビューをお届けする。(文・苫とり子)【あらすじ キャスト 解説 考察 評価 レビュー】 【写真】号泣必至のラスト…最も視聴者に衝撃を与えた登場人物は? 貴重な未公開写真はこちら。ドラマ『海に眠るダイヤモンド』劇中カット一覧
最も視聴者に衝撃を与えたのは?
「意味のなかことは1つもありません。よかことも、悪かことも、すべてね。すべてを抱えて、一生懸命、生きていく。それが人間たい」 和尚(さだまさし)の言葉に、この物語の伝えたいことが集約されているような気がした『海に眠るダイヤモンド』最終回。 2時間スペシャルだけあって、整理しきれないほどの情報が詰まっていたが、最も視聴者に衝撃を与えたのは、いづみ(宮本信子)の秘書である澤田(酒向芳)の正体ではないだろうか。澤田は、進平(斎藤工)とリナ(池田エライザ)の息子・誠だった。そんな澤田がある理由で社長室の金庫に隠した鉄平(神木隆之介)の11冊目の日記から、いづみが知らなかった真実が明らかとなる。 1965年、鉄平から「話がある」と呼び出された朝子(杉咲花)。新区域から石炭が出た矢先のことで、「石炭が出たら“必ず”」という、あの約束が頭をよぎったことだろう。だけど、鉄平は待ち合わせ場所に現れず、それっきり会うことはなかった。 いつもはつけていないイヤリングを耳に輝かせ、笑顔で鉄平を待つ朝子の姿が切ない。
鉄平(神木隆之介)にとっての“最善”
その頃、鉄平は誠を攫った男(三浦誠己)のもとへ向かっていた。男は進平が殺した小鉄、改め門野鉄(若林時英)の兄貴分で復讐を果たしにきたのだ。目の前で誠が命の危機に晒され、小鉄を殺したのは自分だと嘘をついた鉄平。 男の子分たちが襲い来る中、隙をついて誠を助け出した鉄平は、そのまま船に飛び乗り、リナと誠の3人で端島を去る。それは、その時、鉄平が咄嗟に選んだ“最善”の道だった。 自分にとっての“最善”が、他の誰かにとっても“最善”とは限らない。リナがなぜヤクザに追われていたのか、それは最後まで明らかにされなかった。だけど、人生の瞬間ごとに彼女なりの“最善”を尽くした結果、最終的に端島に流れ着くことになったのだろう。 そんなリナを守るため、進平は小鉄を殺し、婚姻届も誠の出生届も出さなかった。それが彼にとっての“最善”だったのだ。 だけど、結果的にリナと進平の選択は結ばれるはずだった鉄平と朝子の仲を引き裂いた。その罪を償いたくていづみの役に立とうと秘書になったが、いざ知られると思うと怖くなって日記を隠した澤田。そんな彼に、いづみは「進平兄ちゃんと、リナさんと、誠。あなたたちがいたから、この家族に会えた」と伝える。 鉄平が島を去った後、朝子は食堂で働いていた虎次郎(前原瑞樹)と結婚した。玲央(神木)が見せてもらった家族アルバムに写る朝子は虎次郎に愛され、子宝にも恵まれ、賢将(清水尋也)や百合子(土屋太鳳)とも家族ぐるみの付き合いがあり、幸せだったことが伝わってくる。
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