上陸、産卵状況など報告 保護タイマイの放流も 大和村でウミガメミーティング
奄美海洋生物研究会(興克樹会長)主催のウミガメミーティングが10日夜、鹿児島県大和村の国直公民館であった。家族連れら30人余りが参加。奄美大島におけるウミガメの特徴や産卵の状況などを学んだ後、2021年に島内の宇検村で釣り針や釣り糸を飲み込んだ状態で保護されたウミガメの一種タイマイを国直海岸で放流。「元気に泳いでね」「また来てね」などと声を掛けながら旅立ちを見守った。 同研究会はウミガメの産卵環境の保全を目的に2012年に発足。奄美大島全域で上陸、産卵状況を調査している。今年のミーティングは奄美市、龍郷町での開催に続き3回目。 興会長(53)は講義の中で、奄美大島での上陸や産卵数について、調査開始の12年からアオウミガメは約4年ごとに増減を繰り返している傾向がみられる一方、アカウミガメは減少傾向であることを紹介。意図せず漁獲される混獲の可能性に言及しながらも「長期的な視点で捉える必要がある」と指摘した。 国直海岸で過去にふ化した子ガメが浜を迷走し対応に苦慮していたことも紹介。外灯の色に注目し、実験の結果、赤色カバーを付けることで子ガメが海に向かうようになったことなども伝えた。 大和村の環境省奄美野生生物保護センター自然保護官補佐の白石大晴さん(22)は、同センターが実施する同村西部の海岸におけるウミガメの上陸・産卵調査や、砂浜を掘り返し卵を食べるイノシシの食害対策などについて説明した。 放流されたタイマイは保護された後、動物病院で治療を受け、奄美市名瀬の奄美海洋展示館で飼育。体重も増加し最近は来館者向けの水槽で展示されていた。国直海岸で同館学芸員の高村洸介さん(27)が子どもたちと一緒に甲長を計測。61センチの亜成体で調査用のタグが付けられた後、海際の砂浜に降ろされると、勢いよく海へ帰って行った。海面から顔を出すと参加者からは歓声が上がった。 親子3人で参加した宇検村の廣瀬祐羽君(8)は「お昼も海で遊びウミガメを見た。元気に暮らしてほしい」。母の聡代さん(45)は「島に引っ越しして、自然と触れることが多い。(子供には)いろいろ興味を持ってほしい」と話した。 興会長は「身近な砂浜が生き物の繁殖、生活の大切な場所だと考えてほしい。アカウミガメは太平洋の中でも日本、特に鹿児島が重要な場所だと知ってもらいたい」と語った。