【競輪】神山雄一郎が引退会見で号泣「吉岡君に認められる選手になりたくて頑張ってきた」
GⅠ優勝16回など競輪の第一人者として数々の記録を残した神山雄一郎(56)=栃木・61期・S2=が24日、都内で会見して現役引退を表明した。神山は来年1月からの級班がA級1班となることもあり去就が注目されていた。23日の取手競輪最終日7Rで909勝目を挙げ、これがラストランとなった。 【競輪】神山雄一郎 GⅠ制覇は16回【表】 1999年に史上3人目のグランドスラム達成
昭和にデビューし、平成、令和を駆け抜けた不世出のレーサーが、ついにバンクを去る。神山は会見の冒頭で、「私、神山雄一郎は、昨日まで走っていました取手競輪を最後に、競輪選手を引退させていただく決意をしました。本当に長い間、ありがとうございました」と引退を表明。「(6月)函館での失格が引き金となった」とS級からの降格が決定的となったたレースを挙げ、引退を意識することになったと話した。 思い出のレースに、「初めて取った特別競輪(GⅠ級競走)が宇都宮の地元のオールスターだったので」と1993年の地元での初戴冠を挙げた。また90年代からしのぎを削った吉岡稔真(福岡・65期=引退)の名前を挙げ、「ライバル視して、常に頭の中に置いて練習して、吉岡君に認められる選手になりたくて頑張ってきた」と号泣する場面もあった。 史上最多の16度の出場を果たしながら優勝できなかったKEIRINグランプリ(GP)に関しては、「勝ちたかったなという気持ちは、正直すごく強いです」と無念さをにじませた。近年はGP出場から遠ざかり、「グランプリというレースも見たくなかった」と振り返りながら、「選手を引退したことですし、気持ち良くレースを見て、同県の眞杉(匠)は当然ですけど、全員応援して見ていたいと思います」と年末の大一番への気持ちを切り替えていた。 今後は「家族との時間を過ごしながら、ゆっくりして」と充電する。それでも「自分のキャリアが後輩に還元されることもしたい」と後進の育成への意欲を示し、「そういうときがきたらまたご報告させていただく」と話した。 通算成績は2931走909勝、GⅠ優勝16回、取得金額29億3830万1609円。数々の記録を残して、ひとつのレジェンドがひとまず完結した。 ◆神山雄一郎(かみやま・ゆういちろう)1968(昭和43年)年4月7日生まれの56歳。栃木県小山市出身。作新学院高卒。日本競輪学校(現養成所)61期生の在校成績1位。88年、栃木支部でデビュー(花月園①①❶)。93年の宇都宮オールスターでGⅠを初制覇。全日本選抜と日本選手権(ダービー)は1回ずつ、高松宮記念杯を2回、オールスター5回、寛仁親王杯3回、競輪祭4回と、GⅠタイトルを計16回獲得した。4日制以上のGⅠが現行の6大会制になってから史上初となるグランドスラムを、99年3月の静岡ダービーで達成。自転車競技では89年の世界自転車選手権(フランス)プロスプリントで銀メダルを獲得。アトランタ、シドニーと五輪に2度出場。最優秀選手賞6回、賞金王5回。師匠は荒川博之(49期・引退)、弟子に飯嶋則之(81期)神山拓弥(91期)。ホームバンクは宇都宮。通算成績は2931戦909勝、優勝は171回。通算獲得賞金は29億3830万1609円。180センチ、87キロ、B型。