持続可能な食の未来に 真摯に向き合い、創造する パリのレストラン「ダティル」
美食の街パリを支えるのは、ビストロからガストロノミーレストランまで様々な舞台で創造に心を砕く料理人たち。持続可能な食の未来を考え、素材と対峙する。 【画像】レモンでさっとマリネしたフレッシュな帆立貝。表面をキャラメリゼした大根、かぼちゃの種のプラリネソースで。 ゲストの顔がほころび会話も弾むような、美食の食卓へと出かけよう。パリで注目のシェフ&レストランを6回に渡りご紹介。
新たな美食の価値観、環境に寄り添う料理
◆Datil(ダティル) 「ダティルはプラムの一種。絶滅危惧種でしたがその存在が再発見され、地方では栽培が再開されています。“環境に寄り添う料理を作りたい”、その思いをこの店名に込めました」と語るのは、シェフのマノン・フルリーさん。 若手職人のブランジュリー、精肉店や鮮魚店など、様々な食材店が軒を連ねるグラヴィリエ通りに佇む店は、ナチュラルな木材を使い、界隈に溶け込むようなエントランスから彼女の世界へと導かれる。 かつてフランスのジュニアフェンシング大会でチャンピオンにもなったこともあるフルリーさん。これと決めた道にはブレがない。 2024年ミシュラン3ツ星になったロワール地方のレストラン「ラ・マリーヌ」のアレクサンドル・クイヨン氏にも師事し、自然との対話から生まれる料理に感銘を受けたという。 とくに影響を受けたのは、ニューヨーク「ブルーヒル」のダン・バーバー氏。農場を併設するレストランで、持続可能な食の未来を目指した野菜中心の料理を学んだ。 初めてシェフの座に就いた「ル・メルモーズ」では、ディナーにタパススタイルを取り入れ、ランチで余った食材を仕込んだ小皿料理を提供。 多彩なスパイスとハーブを生かした美味しさが評判となり、レストラン予約サイト「ザ・フォーク」の若手最高女性料理人賞を受賞した。 「ダティル」でも、無駄なく美味しい料理を心がけ、洋梨のデザートなら、取り除いた皮からピュレを作るなど、その姿勢は変わらない。食材が生き生きと躍る皿に、自然の原風景が浮かび上がる。 Manon FLEURY(マノン・フルリー) 1991年生まれ。3ツ星「ラ・マリーヌ」「アストランス」を経てNY「ブルーヒル」へ。2018年「ル・メルモーズ」のシェフに就任し、レストラン予約サイト「the folk」で若手最高女性料理人賞を受賞。2023年秋に「ダティル」をオープン。 Datil(ダティル) 所在地 13 rue des Gravilliers 75003 Paris 電話番号 01 80 05 74 98 営業時間 12:00~13:30入店、19:15~20:45入店 定休日 土・日曜、月・火曜のランチ
乗松美奈子