「地産地消の担い手農家になって」大阪府が就農支援相談会
大阪府内で就農を目指す人たちを支援する「大阪府就農ガイダンス・相談会」が16日、大阪市中央区のハローワークプラザ難波で開かれ、熱心な参加者たちが新人農家の体験談に耳を傾けたり、個別相談会で情報を集めて、就農実現のチャンスを探った。地産地消志向や自然と親しむライフスタイルに関心が高まる中、都市近郊で農業を目指す人たちが増えているようだ。 <街ぶら>ロケ地の常連 90年の歴史感じる大阪府庁本館へ
大阪では直売農産物の売上が急増
府環境農林水産部農政室推進課が主催。同課では原則毎週木曜日、就農相談に応じているが、仕事に就いている人も相談しやすいよう、就農支援に直結する情報提供や個別相談などを連動したセミナーを、週末に開催することを決めた。 ガイダンスでは同課担当者が大阪農業の現状や就農の基本知識などを説明。大阪の農業産出額は近年、やや減少傾向にある半面、直売所の売上額が8年間で3.3倍に増加。府民が地元産の農産物を信頼して買い求める地産地消志向の高まりを物語っている。 農家1戸当たりの経営耕地面積は0.36haで全国最低ながら、1ha当たりの農業産出額は全国第9位をキープ。農地は狭くとも都市住民や飲食店向け農産物の提供に特化すれば、高付加価値経営を実現できる環境が醸成されている。農家戸数、農地とも減少する一方、新規参入の動きが活発化し、大阪農業は大きな転換期を迎えている。 ただし、就農はあこがれだけでは実現しにくい。ガイダンスでは「農業は最初の5年は赤字経営の可能性大」などと、あえて厳しい表現を織り交ぜて、就農希望者に事前の準備や経営戦略の重要性を強調する一面もあった。
就農経験者「農家のネットワークはすごい」
担当者の説明に続いて、野菜農家の並川友也さん、いちご農家の棟田真さんが、自身の新規就農体験を報告した。 並川さんは広告代理店を経営したが、出身地の堺市で就農を決意。市内の篤農家で2年間の研修を受けた後、2012年農地を借り入れて就農を実現した。しかし、就農2年目の猛暑の夏、あまりに無理を重ねて体調を崩す。収入がなくなるピンチに直面したが、家族や農家仲間に支えられて乗り越え、経営を軌道に乗せたという。 並川さんは「生産した農産物を正当な価格でしっかり販売するためには、苦労はしても販路を自身で開拓すべき」と独自の経営努力を訴える一方、「農家のネットワークはすごい。就農前も就農してからも農家の皆さんに助けてもらうことが多いので、人付き合いはとても」と助言。「若手農家が意見交換できる4Hクラブへの入会を勧めたい」と、農家仲間の交流や地域連携に取り組む姿勢を、後輩の就農候補生たちに求めた。