<甲子園交流試合・2020センバツ32校>魅せた「新庄野球」 笑顔とみなぎる充実感 /広島
この夏最後の試合を勝利で飾った。兵庫県西宮市の阪神甲子園球場であった11日の2020年甲子園高校野球交流試合で、広島新庄は天理(奈良)を4ー2で退けた。チームを率いる下志音主将(3年)は充実感をにじませ、笑顔で球場を後にした。【池田一生】 【真夏の熱闘】交流試合の写真特集はこちら 「3年生には、最初で最後の甲子園。全力で楽しもう」。試合開始直前、手をたたきながらベンチ入りメンバーを励ました。ようやくたどり着いた球児たちの聖地で、自然に笑みがこぼれていた。 二回に守りのミスから先制を許し、序盤は苦しい展開に。三回終了時に「落ち着こう」とメンバーに伝えたのが奏功したか、同点に追いつかれた直後の五回には単打と犠打で着実に点を重ねる「新庄野球」で勝ち越しを呼び込んだ。 昨夏の新チーム発足時、迫田守昭前監督から主将に指名されて誓った。「自分の学年で必ず甲子園に」。出場を確定させた春のセンバツはコロナ禍で中止になったが、交流試合開催が決まった6月以降は「甲子園で最高のプレーをしよう」とチームを鼓舞し続けた。 その甲子園の土を踏んだ。六回の第4打席では中前打を放ち、主将の意地も見せた。苦楽をともにしたメンバーと、勝って歌った校歌が心地よかった。試合後に「ここに来るまでは長く、不安なこともあった」と振り返る一方、日に焼けた笑顔を見せてこう続けた。「でも、甲子園は最高に楽しい場所だった」 ◇前監督もエール 〇…3月までチームを率いた前監督の迫田守昭さん(74)は、中止にならなければ春のセンバツで最後の采配を振るはずだった。試合直前の9日には北広島町のグラウンドを訪ねてチームを激励。11日は自宅でテレビ観戦し、昨秋の近畿大会を制した強豪を相手に堂々の勝利を飾った教え子たちに「コロナ禍で大変な時期を過ごしただろう。本当によく成長してくれた」と祝福の言葉を贈った。 ……………………………………………………………………………………………………… 広島新庄 000210010=4 010100000=2 天理(奈良)