【芸歴30年】「いつでもやめようと思ってます」ぐっさんこと山口智充の現在地、適当に調子に乗っていい加減で行きたい
「デビューした時と変わってない」
自分が面白いと思うものを提供する。それは、2000年~06年に放送されたバラエティ番組『ワン ナイR&R』(フジテレビ系)で披露したキャラクターにも当てはまる。 チョコボーイ山口、ホストの富井、スタジオミュージシャンの黒木といった人気キャラクターは、いろいろな人と出会って吸収したものをもとに、自分自身で築き上げたキャラクターだったという。 「なにがコント作りの正解かはわからないですけど、僕の場合は『ぐっさん、どうぞ好きにやってください』って言われたほうが世間で跳ねていました。 逆に『ぐっさん、こんなんやってください』って言われてやったキャラクターはなかなか跳ねなかった気がします。 例えば、ホストの富井は僕が出会った黒服のお兄ちゃん、そのまんま。 黒木さんも『こんな人おるよな』っていうスタジオミュージシャンを表現したかったんです。 そんなキャラクターを楽屋などで遊びながらやっていたら、周りが面白がってくれて、そのまま1つの企画になったんです(笑)」 芸能界は人気稼業。将来に不安や焦りを覚えた時期はなかったのだろうか。 「今日はどんな楽しいことが起こるか。明日どうなっているか。この業界でどうなっていくんだろう……そんなことを、すごくプラスに考えてワクワクするんですね。 このワクワクする気持ちは、デビューした時と変わってないんです。 逆に、例えば『30年もやってきたんだからこの先はもう大丈夫』と思ったら、それは終わりかなと。 もちろん、うまいこといかないことや外部からの攻撃など、自分が望んでない何かしらの出来事は日々起こる。 そのなかには、見ないでいいこともあるんですけど、どうしても向き合わなきゃいけないものもあるんですよね。 そんなとき、僕は『これは必然だ。起こるべくして起こった』って考えるようにするんです。 そして、10代、20代の時には思わなかったのですが、1回楽しんでみようと思えるようになりまし た。自分で言うのもあれですけど、ちょっとは器が大きくなったのかな?(笑)」 山口から伝わるのは、仕事そして人生に対して、とにかくポジティブに向き合っている点だ。 「例えば、道に迷ったとして、『どうしよう』って思うのか、『通ったことない道を発見できた』と思うのか。結果的にポジティブをチョイスするのは自分次第。 『調子に乗ってる』『いい加減』『適当』みたいな言葉もネガティブに使われてるけど、調子に乗れ てるって良いことだし、いい加減も“良い加減”ですもんね。 だから僕はこれからも、適当に調子に乗っていい加減で行きたいなって思います(笑)」 ポジティブに、そして自分のペースで仕事に取り組んできた山口。人生を楽しむうえでもう1つ大切な存在になっているのは家族だという。後編では、そんな家族とのかかわり方を聞く。 PROFILE 山口智充(やまぐち ともみつ)●1969年3月14日生まれ。大阪府出身。高校卒業後、サラリーマン生活を経て1994年にデビュー。バラエティ番組、ドラマ、映画、ラジオ、ナレーション、アニメのアフレコ、ライブなど、幅広く活動している。愛称はぐっさん。 公式Instagram:@yamaguchitomomitsu_official 取材・文/羽田健治
羽田 健治