第93回選抜高校野球 智弁学園、夢の舞台へ/天理、聖地へ臨む(その1) /奈良
<センバツ2021> 第93回選抜高校野球大会の選考委員会が29日、オンラインで開かれ、智弁学園(2年連続14回目)と天理(2年連続25回目)が選出された。県勢は2年連続で2校が選ばれ、両校は喜びに沸いた。選手らは新型コロナウイルスの感染拡大で中止となった前回大会を振り返り、「出られなかった先輩たちの分まで」と決意を新たにしていた。組み合わせ抽選会は2月23日、大会は3月19日から兵庫県西宮市の阪神甲子園球場で開かれる。 ◆智弁学園 ◇近畿王者、夢の舞台へ 「ありがたくお受けいたします」。午後4時ごろ、智弁学園(五條市)の手塚彰校長は大会本部からの電話に答えた。 グラウンドでは選手たちが練習をしながら、朗報を待ちわびた。手塚校長が出場決定を伝えると、ナインらは「ありがとうございます!」と一礼、満面の笑みで喜びを分かち合った。「コロナ禍でも野球ができることに感謝の気持ちを持って、精いっぱいのプレーをしてください」と激励され、夢舞台での活躍を胸に誓った。 チームは2020年秋、県大会決勝で天理に惜敗するも、近畿地区大会では大阪桐蔭(大阪)を降し、9年ぶりに王者の座をつかんだ。4番の山下陽輔主将(2年)とともに打線を勢いづける前川右京選手(同)は「しっかり準備して打撃でチームに貢献したい」と意気込んだ。 目標は16年以来の日本一。左のエース、西村王雅投手(2年)は「甲子園ではまだ勝っていない。チームワークを高めていきたい」と気を引き締めた。【林みづき、稲生陽、高田房二郎】 ◆天理 ◇待望の春、聖地へ臨む 天理(天理市)には午後4時すぎ、出場決定の電話があった。竹森博志校長は「光栄に存じます。ありがたくお受けいたします」と応じ、安堵(あんど)の表情を浮かべた。 竹森校長はその後、学校から離れたグラウンドへ移動。練習していた野球部員たちに出場決定を伝え、「県や近畿の代表としての自覚、謙虚な気持ちを忘れることなく、全国に勇気、感動、元気を届けてほしい」と激励。選手らはマスク姿で、静かにガッツポーズをしたり、その場でジャンプしたりして喜びを表した。 20年の公式戦で活躍した右腕のエース、達孝太投手(2年)は「選ばれると思っていなかったのでうれしい」と笑顔。「(甲子園で)結果を出したい」と意気込んだ。決定報告の様子を見守った内山陽斗主将(同)の母奈美子さん(47)は「心配でドキドキして発表を待っていたので、ほっとしました。先輩たちの分まで頑張ってほしい」と喜んでいた。【広瀬晃子、小宅洋介、加藤佑輔】 ◇花束とボール、出場校へ贈呈 本紙専売会 センバツ出場を決めた智弁学園と天理には、新聞販売店でつくる毎日新聞奈良三重専売会から花束とボールが贈られた。 智弁学園のグラウンドには、専売会の桐山政孝会長らが訪れ、小坂将商監督と山下陽輔主将にボールと花束を手渡し、「頑張ってください」と激励した。 一方、天理のグラウンドには、橿原南坊城販売所の霜村寿志所長らが訪問。「頑張ってください」と言葉をかけながら、中村良二監督と内山陽斗主将にボールと花束を贈った。 ◇本紙号外を手にエール 智弁学園と天理両校では、センバツ出場を伝える毎日新聞の特別号外が配られた。 智弁学園グラウンドでは、野球部員の保護者らに配布。小畠一心投手(2年)の父茂雄さん(47)と母久美さん(47)は「コロナ禍の中、厳しい練習を乗り越えてきた。号外の写真のように、笑顔で楽しんで晴れ舞台に臨んでほしい」と選手たちにエールを送った。 一方、天理の保護者会長、仲川裕一さん(55)は「多くの市民から『頑張れ』と応援の声をもらえるチーム。声援を力に、大会当日まで一生懸命練習し、力を発揮してほしい」と激励した。