逆風の中で６選を確実にし、当選報告会で汗を拭う自民党県連会長の武藤容治氏＝２７日午後８時１５分、各務原市那加石山町、選挙事務所（撮影・堀尚人）

　衆院選は27日に投票、即日開票され、岐阜県内五つの小選挙区では自民前職4人が議席を守った一方、自民党派閥裏金事件をきっかけにした「政治とカネ」の問題が選挙期間中に再燃した影響で立憲民主元職が返り咲きで1議席を奪取した。小選挙区で野党が当選したのは、民主党が政権交代を遂げた2009年以来。他に立民新人と国民民主新人、れいわ新選組元職が比例復活した。県内の野党国会議員が複数誕生したのも09年以来となる。投票率は五つの小選挙区全体で55・39％で、前回21年より2・71ポイント下落し、過去2番目に低い。 　岐阜1区は、自民前職の野田聖子氏が抜群の知名度と実績を武器に、共産新人の山越徹氏に大差をつけて11選。全国各地へ応援に入ったため今回も本人不在の選挙戦となったが、手堅く票をまとめた。山越氏は支持が広がらなかった。 　岐阜2区は、地元政財界による堅固な支持基盤を持つ自民前職の棚橋泰文氏が圧勝で10選を決めた。共産新人の三尾圭司氏、無所属新人の伊藤あゆみ氏は、ともに厳しい戦いとなった。 　岐阜3区は、自民前職で経済産業相の武藤容治氏が安定した戦いぶりで全地域から票を重ねて6選した。国民新人の仙田晃宏氏とれいわ元職の阪口直人氏は小選挙区で敗れたが、ともに比例復活を果たした。 　岐阜4区は、立民元職の今井雅人氏が野党支持層を固める一方、可茂地域の票を取り込んで、自身初となる小選挙区で勝利。返り咲きで5選を果たした。自民前職の金子俊平氏は3選を目指したが、得意の組織戦を生かせず敗北した。比例復活もできなかった。 　岐阜5区は、自民前職の古屋圭司氏が都市部で吹いた野党の風に苦戦を強いられたものの、地力を見せつけて12選を飾った。立民新人の真野哲氏は連合岐阜の推薦を受けて労組票を固めたほか、自民批判票の受け皿となって比例復活し、初当選を決めた。日本維新の会元職の山田良司氏は支持に広がりを欠いた。 　比例単独では、県関係で自民新人2人と立民新人1人が出馬したが落選した。 ◆県内小選挙区の開票結果 ▼1区（選管最終） 当100,226　野田聖子　自前（11） 　　48,325　山越徹　　共新 ▼2区（選管最終） 当　91,183　棚橋泰文　　自前(10) 　　33,634　三尾圭司　　共新 　　22,456　伊藤あゆみ　無新 ▼3区（選管最終） 当　98,370　武藤容治　自前(6) 比　64,039　仙田晃宏　国新(1) 比　48,002　阪口直人　れ元(3) ▼4区（選管最終） 当114,032　今井雅人　立元(5) 　　85,129　金子俊平　自前 ▼5区（選管最終） 当　73,679　古屋圭司　自前（12） 比　58,973　真野哲　　立新(1) 　　19,973　山田良司　維元 比=比例での当選者