日没前から観光客でごった返す函館山山頂の屋上展望台（９月撮影）

　夜景観賞の観光客でごった返す函館山山頂の混雑緩和対策をめぐり、函館市が観光客数に一定の制限を設ける「入れ替え制」を含めた規制を検討していることが分かった。市は今年、函館山での夜景時間帯の混雑緩和に向けた実証実験を初めて実施。オーバーツーリズム（観光公害）解消に本格的に乗り出す。 【写真】函館山から見下ろす絶景

　実証実験は繁忙期の８月から９月にかけて、函館山山頂と周辺の西部地区で行われた。

　「函館山トワイライトファンタジー」は、山頂の屋上展望台に集中する観光客を、夕日が楽しめる山頂広場、イカ釣り船のいさり火と夜景が同時に見える漁火公園などに分散させる実験。同時期に行われた「ゆったり夜景とヨルメグリ」では、夜景観賞のピークの時間帯に、観光客が函館まちあるきガイドと一緒に観光名所の西部地区を巡り、山頂の混雑を避けた。

　両実証実験による混雑緩和の効果を分析した実施報告書によると、夜景観賞の満足度は、回答者５４９人のうち「大変満足」が６５・８％、「満足」が１９・８％で、函館山からの夜景が今なお魅力的な観光資源であることが確認された。

　実証実験については、「函館山トワイライトファンタジー」（回答者４０２人）は「大変満足」が３２・７％、「満足」が２９・８％と好評だったが、混雑状況は実験前と目立った差はなく、「山頂での分散化は十分に図られなかった」と結論づけた。

　混雑緩和に必要な措置は、４１・７％の観光客が「山頂展望台の時間制での入れ替え」を要望した。以下、「観覧エリアの拡大」「一方通行の観覧ルートの導入」などと続いた。

　「ゆったり夜景とヨルメグリ」（同１１０人）は「大変満足」が８３％を占め、「満足」も１３％。ただ、山頂の混雑に対して、「待ち時間と混雑は想像以上だった」「ゆっくり夜景を見られなかった」「長々と自撮りして場所を譲らないため余計に混む」といった声があった。

　市観光企画課は「集中する観光客を分散化する必要があることは、函館山ロープウェイなどと共通認識になっている」とした上で、今後、観光客の入れ替え制といった人数制限の導入を検討していくという。担当者は「入れ替え制は、観光客の待機場所の設定などの課題も多いが、実証実験の結果を踏まえ、混雑解消に取り組んでいきたい」と話している。