イタリア、EU幹部人事で副委員長職獲得の見通し
(ブルームバーグ): 欧州連合(EU)の中道派が今週末の首脳会議を前に、欧州委員会の次期幹部人事に関する合意の取りまとめを目指す中、イタリアが要職を獲得する機会を得そうだ。
協議に詳しい関係者によると、欧州議会の最大政治グループを代表する6カ国の首脳は25日、イタリアが選んだ候補者が欧州委の次期副委員長の1人を務めることを支持することで合意したという。この合意には、フォンデアライエン欧州委員長を2期目に指名することが含まれている。フォンデアライエン氏はその前提で、イタリアのメローニ首相と交渉することになるという。メローニ首相が誰をそのポストに推すかを決め、留任予定のフォンデアライエン氏が具体的な役割を決めることになる。
6月初めの欧州議会選挙では、メローニ氏率いる右派連合が躍進した。関係者の1人は、メローニ氏が選んだ候補者に上級ポストを与えることは、賢明かつ合理的だと、匿名で語った。EUの主要な指導者たちはすでにトップのポストについて大筋合意しているが、メローニ氏はその任命プロセスを声高に批判している。メローニ氏は、自らのグループが選挙に勝利した以上、イタリアには「トップの役割」を求める権利があると主張した。
フォンデアライエン氏は選挙前から、メローニ氏の最大の関心事の一つである移民問題について話し合うために何度もイタリアを訪問し、同氏の機嫌を慎重にうかがってきた。イタリアに対する副委員長ポストの提示は、27日からブリュッセルで開かれるEU首脳会議において、EUの幹部人事を円滑に決める狙いがある。
欧州委員会組織の中で、副委員長は伝統的に幾つかの重要ポストに影響力を持ち、複数の委員の仕事を監督する。メローニ氏から支持を得ておくことは、非主流派の加盟国首脳が合意を引き延ばすのを避けるための鍵になると見られている。先週行われた加盟国首脳の会合では、この人事について正式合意には至らなかった。