キューバは「貧しい国」なのか? 「幸せの国」なのか?
スポーツはあらゆる種目が盛んで、みなレベルが高い。キューバにはこんな小咄(こばなし)があるようです。「キューバ革命の3つの成果は、医療・教育・スポーツ。3つの失敗は、朝食・昼食・夕食……」。野球だけでなく、バレーボール、ボクシング、陸上、さらに柔道も世界トップクラスです。人口は日本の10分の1足らずなのに、92年のバルセロナ五輪では14個もの金メダル(世界4位)を獲得しています。 声一つ、楽器一つ、身体一つで楽しめる音楽やダンスも、キューバの「絵」になっています。観光地では至る所にラテン・サウンドが響いています。ライブハウスやバーの演奏者はとてもレベルが高い。そして地元の客は、皆すぐに踊り出す。キューバは国を挙げてスポーツ・芸術文化の振興に取り組んでおり、見出された幼い才能は、各分野の養成機関で英才教育をほどこされます。キューバは義務教育や大学だけでなく、こうした学費も無料です。
◆社会主義国・キューバを旅行するのは大変?
各地の観光地は、ヨーロッパや南米からの団体客であふれ返っています。「なぜいま?」の質問には、時期が時期だけに「アメリカ人が押しよせる前に」「マクドナルドができる前に」という声が大半でした。ただ、アメリカ人の渡航制限は一部緩和されています。実際、ハバナ市内でアメリカ人観光客(50代男性)と遭遇したので、「なぜ?」とたずねてみると、にやりと笑いながら、同じく「アメリカ人が来ないうちにね」。 日本人が心配な治安はどうでしょうか。どんな安全な国でも必ず付く注意書き「手荷物から目を離さなければ」「暗い裏通りを避ければ」はキューバの旅でも外せませんが、治安は「かなり良好」といって良いでしょう。少なくともテロや誘拐の恐れはありません。旅行客が集まるハバナ旧市街は、角かどで警官が目を光らせています。社会主義監視体制は、治安面ではプラスに働いてくれます。
個人旅行で気になるのは、宿泊と移動手段です。日本人目線での「星印」が多くつくホテルは限られていますが、政府の認可をうけた快適な民宿(カサ・パルティクラル)があちこちにあり、飛びこみでも心配ありません。1泊2000~3500円で、庶民の暮らしものぞけます。首都ハバナだけで1万件、その数はいまも増えています。長距離移動は、飛行機かビアスール社のバス。長距離バスは快適で、ほぼ時刻表通りに発着します。ただし、チケットの予約には少し苦労させられるかもしれません。窓口が少なく、社会主義国ならではの「融通のなさ」「ルーズさ」にも覚悟が必要です。