SNSで人気の都知事選候補「石丸前市長」だが…在任中に行った「専決処分」の“違法”とは
議員もマスコミも誤解?「専決処分は違法でも有効」は誤り
専決処分について賛成はしたが、議会を通さなかったことに対して批判的な議員もいる。たとえば田邊議員は「専決処分が不承認でも処分の効力は有効であるため今回は賛成する」と述べている。しかし、幸田教授は、この認識には誤りがあると指摘する。 幸田教授:「本件の専決処分はそもそも地方自治法179条1項が定める要件をみたさない違法なものです。そして、これまでの裁判例でも、違法な専決処分は無効とされています。 専決処分が不承認でも有効となる場合は、あくまでも専決処分は適法で、内容が不適切だからという理由で不承認になった場合です。 田邊議員の『専決処分が不承認でも処分の効力は有効』という発言がありますが、これは間違いです。専決処分自体が違法の場合は承認・不承認以前に『無効』です」 一部のマスコミも含め、専決処分について一律に「議会の承認を得られなくても有効」という認識が広がっているようである。しかし、法的観点からすると、それは重大な誤解ということになる。 専決処分の適法要件をみたしたうえでの「不承認」と、適法要件をみたさないことを理由とする「不承認」とでは、効力が異なるのはおのずから当然といえる。 後編ではさらに、市議会議員が市(石丸氏)を名誉毀損で訴えた裁判の一審の賠償命令に対する控訴、及び、石丸氏が市長退任直前に行った「認定こども園」基本構想費の予算化について、専決処分の適法性を検証する。
弁護士JP編集部