SNSで人気の都知事選候補「石丸前市長」だが…在任中に行った「専決処分」の“違法”とは
道の駅への「無印良品の誘致」の適法性は?
最初に取り上げるのは、「道の駅 三矢の里あきたかた」への「無印良品」(株式会社良品計画)の出店計画に関連する専決処分である。安芸高田市は2022年2月から良品計画社との連携協定に関する協議を行っていた。そして、事業者側から2023年1月に安芸高田市内への出店の提案があったという。 石丸氏は、道の駅の改修工事についての調査設計の業務委託の予算の専決処分を2023年4月28日に行った。 また、市議会の6月定例会において、専決処分の承認を求めるとともに、道の駅の改修工事の費用を補正予算に計上した。 これに対し、市議会は専決処分を不承認とし、また、改修工事費用の予算を削除した。なお、定例会にかかる専決処分は他に4件あったが、いずれも議会は承認している。 市長側の説明資料によれば、良品計画社が2023年12月の開業を希望しており、それを目指して逆算したところ、5月の連休前に調査設計に着手する必要があったとしている。 幸田教授:「この場合、問題となるのは、地方自治法179条1項の『特に緊急を要するため議会を招集する時間的余裕がないことが明らか』という要件をみたすかどうかです。 この要件は、事案の内容及び性質に照らし、『特に緊急を要する』必要性があって、議会を招集して議決を待ったのでは時機を失する場合を指すと考えられます。 無印良品の調査設計の業務委託予算は、事柄の性質上、『特に緊急を要する』とはいえないことに加え、議会での十分な審議を経て、適否を決定すべきものといえます。 4月28日であれば、臨時会を招集することもできたし、定例会を5月に少し前倒しして招集して議決を求めることもできたはずです。 4月28日に専決処分をしなければどうしても間に合わないということであれば、そのことについて合理的な説明が必要です」 では、実際にはどのような説明が行われていたのか。 6月定例会の質疑を掲載した「議会だより78号(2023年8月15日発行)」によると、産業部長は「(開業予定が12月だと)良品計画から最終的に確定をされたのが4月27日以降」と説明している。 また、石丸氏は以下のように答弁している。 「企業戦略として12月であれば安芸高田市に出店できるという条件が提示された。それ以外ならうちではなくなる可能性はある」 「相手は超大企業。立場としてはこっちが下ですべての都合が(※原文ママ)そちらに合わせますと、そこまで言ってやっと来てもらえるかどうか。それが今の企業誘致の現実」 これらの説明についてはどうだろうか。 幸田教授:「まず、本当に5月の連休前に調査設計に着手しないと本当に開業自体ができないというのであれば、その理由についての説明が必要です。しかし、十分な説明が行われたとは言い難いでしょう。 仮に良品計画社側が『12月に開業したい』という希望を述べていたとしても、そもそも地方自治法で、予算については議会の承認を得なければならないと決まっています。それなのに、法律を度外視して『すべて企業側の都合に合わせる』というのは理由になりません。 したがって、専決処分は『特に緊急を要するため議会を招集する時間的余裕がないことが明らか』という要件をみたさず、違法といわざるを得ません」