TVに「権力監視」求めた田中優子氏らがテレ朝番審委員長の見城徹氏らに訴えられる
権力によるテレビ報道への介入に対して放送会社の株主の立場から監視し、民主的経営を促していこうと結成された「テレビ輝け!市民ネットワーク」(前川喜平、田中優子・共同代表)は、『テレビ朝日』の持ち株会社=テレ朝ホールディングス(HD)に「政治圧力に忖度・迎合せず、正確で偏りのない報道」を求める株主提案をしてきた。6月末の株主総会では同ネットの提出議案はいずれも否決されたが、前川代表やメンバーの弁護士らは「支持は確実に広がっており、市民提案を無視できないことを示した」と「手応え」を表明した。
同ネットはメンバー約50人で、テレ朝株を計約4万株購入。①報道番組などに権力介入が疑われたときには独立した第三者委員会を設立する②放送番組審議会が機能不全のときも第三者委を設立する③番審委員らの任期に上限を設ける④文部科学事務次官だった前川代表を社外取締役に就ける――などの4議案を提出していた。 これに対して取締役会側は「番審が機能不全」の状態では「ない」と否定し、第三者委の関与を定款で義務付けることは「業務の適時適正な執行を阻害するおそれがある」などとして反対を表明。多数派の大株主によって否決された。 市民ネットが特にテレ朝の「権力へのすり寄り」を懸念して警鐘を鳴らす理由は、テレ朝生え抜きの早河洋氏が社長になって以来(それまでのように大株主の朝日新聞社からの天下りによる社長などではなく)、2014年には会長兼最高経営責任者(CEO)に就任し、出版社の幻冬舎の見城徹社長が番審委員を20年以上、委員長を10年以上していることに着目するからだ。 15年1月には「報道ステーション」コメンテーターの元経済産業省官僚・古賀茂明氏が当時の第2次安倍晋三政権を批判すると、当時の官房長官側近から連絡が入り、テレ朝側が忖度して同年3月に古賀氏と番組制作担当者を降板させた、との文献が存在する――との事実を指摘する梓澤和幸弁護士らは、「真実ならば憲法の保障する放送の自由を侵害する。調査せよということだ」と訴える。