TVに「権力監視」求めた田中優子氏らがテレ朝番審委員長の見城徹氏らに訴えられる
「報道に見せかけた宣伝」
「大下容子ワイド!スクランブル」(23年10月17日放送)や「羽鳥慎一モーニングショー」(24年3月1日放送)では、番組内で「単なる(幻冬舎発行の)書籍宣伝に堕していると思われる」報道があった――とし、市民ネットはこれも「民放連 放送基準」(広告と報道の峻別)に違反する疑いが濃厚だとしている。これらについても、テレ朝側は他の多くの書籍も同様に番組で紹介している例をあげ、「宣伝ではなく報道」と反論している。 一方、インターネットメディア「Arc Times」(AT)が4月~5月にユーチューブに配信した映像番組で、田中共同代表がキャスター(AT記者)やAT編集長と鼎談。田中氏は市民ネットの株主提案の趣旨を述べたが、テレ朝HD株主総会直前になって、幻冬舎と見城社長が鼎談の内容に名誉毀損があるとしてATに謝罪広告などを求めるとともに、田中氏と記者、編集長、ATの4者は連帯して見城氏と幻冬舎に計1000万円を支払えという損害賠償請求訴訟を起こした。 原告側は訴状で、被告らの主張は「臆測」にすぎず、見城氏らは「報道の公正性・独立性の確保に尽力」し、「政権に配慮した報道を推奨」したことも「一切ない」とし、「社会的名誉を著しく低下させた」と主張する。が、筆者の取材申し込みには、幻冬舎広報担当者が「係争中につき一切お答えできない」と拒否している。 市民ネット事務局の阪口徳雄弁護士は「田中代表の発言は私たち株主提案の要旨を説明しただけ。名誉毀損と認定される事案とはおよそ思われない。株主提案封じの訴訟と言える。受けて立つ」としている。
本田雅和・編集部