おなかの赤ちゃんに発覚した病気。妊娠後期、NICUのある大病院に転院することに<医師監修あり>
2023年に第一子妊娠が判明したどんぐりさん。妊娠後期におなかの赤ちゃんの心臓の疾患の疑いが発覚し、専門医のいる病院へ転院することに。 当初描いていたプランと異なる里帰りなし、立ち会いなしの初めての出産でしたが、周りの人たちの体験談から恐怖心はほとんどなかったそう。 陣痛を感じたその日に入院、すでに子宮口7㎝!怒涛の如く進んでいったどんぐりさんの出産エピソードをご紹介します。 【漫画を読む】どんぐりさんの出産体験記を最初から読む 生まれる赤ちゃんの数だけある出産のエピソード。SNSで見たり、プレママ友やママ友から話を聞いたりしたとき、なんとなく気になることがあったりしませんか? 妊婦さんが少しでも快適なマタニティ生活を送れるよう、どんぐりさんに今回の出産時の経験を共有していただき、女性医療クリニックLUNA横浜元町の副院長である小野寺真奈美先生に出産にまつわる疑問点を教えていただきました。 おなかの赤ちゃんの病気から、専門医が在籍し、NICUも併設する大きな病院へとどんぐりさんが転院したのは妊娠後期のこと。 健診では毎回40~60分のエコーでしっかり確認するなど万全の体制のなか、予定日10日前におこなった妊婦健診で子宮口が3cmとなっていることがわかり、「1週間以内に生まれるかもしれない」と告げられます。 妊娠後期に聞いたお子さんの病気と転院について、どんぐりさんはどう感じていたのでしょうか? 「転院については仕方ないと切り替えられたのですが、診断結果を聞いた時はショックでした。夫や互いの両親、友達のおかげで笑いながら過ごす事が出来ましたが、それはあくまでも重症では無かったからだと思います」。 転院についての意識を上手にスイッチしたどんぐりさんは、出産への恐怖については 「全然!むしろ早く産みたい!」というほど、恐怖はあまりなかったといいます。 「実母がかなりのスピード出産だったことや、友達みんなも出産エピソードを笑いながら話してくれたので、怖いイメージがあまりなかったです。産む本人が怖くて堪らないのは仕方ないと思うので、周りの人たちが明るく励ますのが大事なのかなと思います」。 そして、陣痛がやってきます。 最初は軽い生理痛のような感じでしたが、心配するご主人を送り出し、洗濯をしているとそれは重い生理痛のような痛みに。その1時間後には陣痛の間隔が10分を切り、連絡をして病院へと向かいます。 「我が家には猫がいるので、ご飯とお水をたっぷりあげて抱きしめてから病院へ向えたので気合いが入りました」。 病院へ到着し、受付を済ませ、内診するとすでに子宮口は7cm。どんぐりさんはすぐに分娩室へと案内されました。着替えをするとNST(ノンストレステスト)を開始。数分おきに助産師さんが確認にやってきます。そんななかで、「飲み物飲んでおいた方がいいですよ」というアドバイスを受け、いろんな妊婦さんの体験談で登場していたストロー付きのキャップをはめたペットボトルの飲料を仰向けのまま飲もうとしたところ… 顔に飲み物が直撃してしまいました。 「陣痛中に食べる予定の軽食は一度、仰向けの状態で試食してみるのが良いと思います」。 陣痛の状況は人それぞれで余裕がないこともあります。事前に試しておくと不安を少し減らすことができるかもしれません。 刻々と迫る、出産のそのとき。生理痛のような痛みを感じた目覚めから、入院、分娩室へとどんぐりさんの出産は一気に進んでいきました。 ■専門医に聞く「出産」にまつわるギモン どんぐりさんの出産レポートをもとに、現在女性医療クリニックLUNA横浜元町の副院長であり、ご自身も2児の母である小野寺真奈美先生に、出産にまつわる様々な疑問をお聞きしました。 ───突然の転院となると動揺する方も多そうですが、そんなときはどのように捉えたらよいのでしょうか? 小野寺先生「それまでの自分のプランから外れることになるため、転院をすることに動揺するのも無理はありません。でも、転院は通院している病院での治療ができないため高度な施設に行くということ。正直なところ、母子ともに生まれるまでは、そして生まれてからも何があるかわかりません。母親(母体)の合併症でも転院になることがあるのです。 今回の場合、赤ちゃん(胎児)の心臓の疾患の疑いが前もってわかったことはとても良かったことだと思います。そのおかげで高度な治療のできる病院へ早めに行くことができ、新生児科や小児科、小児外科などの専門の先生と前もって連携が取れることで医療者も準備ができます。親御さんも専門の先生方から赤ちゃんの治療や入院についてなどを前もって聞くことで、(心配もありますが)心の準備ができます。その点が一番大きいと思いますので、いい意味で捉えていただけると医師としてもうれしいです」 ───予定日10日前に子宮口は3cmとありましたが、子宮口はいつ頃から開くのでしょうか? 3cmでは出産はまだという状況なのでしょうか? 小野寺先生「まず満期(37週0日以降)になるといつ生まれてきてもおかしくない状況です。予定日に必ずしも生まれるわけではないので、そこは皆さんに覚えていていただきたいところです。なので、そのあたりから子宮口が開いている人もいますし、切迫傾向であればさらに早くから開いていることもあります。 しかし、分娩が近いかの評価は子宮口だけではありません。 子宮口開大度(開き具合)、頸管展退度(薄さ)、児頭の位置(赤ちゃんの頭が下がっているか)、頸部の硬度(柔らかさ)、子宮口の位置(子宮の向きが後ろか前か)という評価項目で総合的に分娩の進行を決めていきます。初産なのかそうでないか、陣痛や破水があるかなども基準になります。 これらの項目が進んでいるのに陣痛や破水がきていない人は、「墜落産」といって陣痛から分娩までの時間が早く、病院にたどり着く前に分娩となる可能性があるので、健診時にすぐに入院になることもあります。 今回の状況については子宮口3cmでも陣痛がきていないため、今すぐ分娩となるとは判断していないと思われます。ただ、産徴が認められ分娩時期が近づいてきているのは確かですので、「1週間以内に」と説明されているのかと思います」 ──妊娠後期からはじまる「NST(ノンストレステスト)」について簡単に教えてください。 小野寺先生「NST(ノンストレステスト)とは、陣痛などのストレスがない状態で胎児の心拍と母体の子宮収縮の状況を判断するテストです。特に赤ちゃんが元気かどうか判断するためとても大切なテストで、短時間での診断は難しいため大体30分くらいかけて検査をします」 急にお腹が痛み出した、破水した…など出産のはじまりは人によって異なります。予定日通りにいかないこともほとんどで、読めないからこそ予定日が近くなるにつれ、不安を感じるかもしれません。突然くるその日に少しでも心地よく臨めるよう、出産に関する疑問を解消していきましょう! どんぐり 1児の母。「出産レポ」「私が妊娠糖尿病?」など自身の体験談をインスタグラムで公開中。 取材・文=伊藤延枝 医療監修=女性医療クリニックLUNA横浜元町 副院長 小野寺真奈美先生