多発した衆院選開票ミスは超短期決戦での習熟不足を露呈
10月27日に投開票された衆院選では、不在者投票の入れ忘れや投票用紙の二重交付などのミスが全国で相次いだ。解散から投開票までわずか18日間の超短期決戦で、準備期間が満足に取れなかったことや職員の練度不足などが要因に挙がる。来夏には参院選が控えており、ミス撲滅に向けた自治体の対策が急がれている。 大阪府豊中市では、不在者投票で受け付けた比例代表の525票を投票箱に入れ忘れ、いずれも無効票になった。市選挙管理委員会によると、封筒から投票用紙を取り出して投票箱に入れる際、封筒と票を重ねたまま置いていたため、担当者が票の存在に気付かないまま投票を締め切ったという。市選管は「選挙への信頼を落とすことになりおわび申し上げる」としている。 大阪府富田林市でも、他の自治体などから郵送で届いた不在者投票を執務室内の保管庫に入れたまま投票を締め切ってしまい、比例代表の32票が無効に。そのほか、川崎市では機器のトラブルで約20人が投票できなかったほか、期日前投票を前日に済ませた有権者に投票用紙を二重交付するなどのミスが京都府与謝野町、福岡県春日市など各地で発生した。 トラブルが相次いだ背景として各地の選管があげた理由の多くが、準備期間の短さと職員の練度不足だ。 首相就任から8日後の解散は戦後最短で、解散から投開票まではわずか18日間と令和3年衆院選の17日間に次いで戦後2番目の短期決戦となった。3年衆院選は「(衆院議員の)任期満了に近いということもあり予測が立てやすく、準備にも余裕があった」(近畿地方の自治体選管関係者)が、今回はそうではなく、各自治体の選管では、投開票所の確保に加え、職員の事前研修も急いで行うことを余儀なくされた。 特に衆院選では、小選挙区と比例代表に加え、最高裁判所裁判官国民審査も併せて行われる。開票所での作業は煩雑だが、それまで顔を合わせたことのあまりない職員との共同作業になる。近畿地方の自治体の担当者は、「全ての職員が選挙事務に詳しいわけではないので、準備期間が短い分だけ職員に対する周知が徹底されない面もある。何もないときに研修というのもなかなか難しい」と指摘した。 別の自治体の担当者は「解散時期を教えてくれといっても無理なことはわかるが、ある程度の準備期間は確保してほしい」と訴えた。(秋山紀浩)