「東大は進学校や金持ちだけのものじゃない」普通の高校から東大合格した学生たちが語る叩き上げ東大生の強みとは
東大非進学校出身の東大生#1
日本最難関の国立大学、東京大学。開成や灘といった超進学校出身の学生が多く、非進学校と呼ばれる一般的な高校から進学する人は多くない。そんななか、東大合格者がほぼ輩出されない高校から東大に進学した現役生による、自身と同じような境遇の中高生・受験生を支援する「UTFR(University of Tokyo Frontier Runners)非進学校出身東大生サークル」という団体がある。同団体の二代目代表・神田直樹さん、現代表の清水大志さんに話を聞いた。(前後編の前編) 【写真】あっという間に完売した「非進学校出身者による合格体験記」
非進学校出身の東大生の集まり「UTFR」
──まず、UTFRとはどのような団体なのか教えてください。 清水大志さん(以下、清水) UTFR(University of Tokyo Frontier Runners)とは、非進学校出身の東大生が集まる団体です。入学時にあまり知り合いがいない状況を経験した人たちのためのコミュニティですね。その上で、非進学校から東大を目指している境遇の高校生に対して、教育支援を行っています。 地方の高校への訪問活動や、合格体験記の販売を行ったり。合格体験記は、年に2回ある東大の文化祭をはじめ、オンラインでも販売しています。 ──UTFRが発足したきっかけは? 神田直樹さん(以下、神田) UTFRは、もともとは非進学校出身の東大生のための友達づくりの場でした。毎年、開成や灘、筑駒レベルの高校からは一気に100人くらいずつが東大に入学してきます。そのため、入学当初から友達や知り合いがいたりして、大学や講義の情報などを容易く得られるのですが、非進学校出身だとそうはいきません。 そこから、入学のタイミングで高校同期がいないのがとても寂しいな、と感じた人たちが集まったのがUTFRです。もともとは内向きのサークルだったのですが、人数が増えるにつれて「何かしたほうがいいよね」ということになり、大学受験の苦労をまとめて本にして、学園祭で「非進学校出身者の合格体験記」として売り始めました。 ──実際に合格体験記を販売されて、反響はいかがでしたか? 神田 それがすごかったんです。600部ほど刷りましたが、「全部は売れないだろう」と思っていました。でも、予想に反して飛ぶように売れてしまい、あっという間に完売しました。紙で買えなかった人には急遽、電子版のダウンロード販売もしました。内容に共感してくれた人も多くいましたし、なかには「うちの高校に講演に来てください」という教師の方からの依頼もあるほどでした。 その後、こうした活動を本格化させることになり、合格体験記の販売以外にも沖縄・石垣島の訪問や、小学館さんとタッグを組んで『非進学校出身東大生が高校時代にしてたこと』という書籍を出版したり、さまざまな活動を行うようになりました。 清水 この本を読んで、東大を目指したいと思って勉強して、実際に非進学校から東大に入学した人もいますね。その人は現在、UTFRで一緒に活動しています。