岩手大学とNTT Com、農学分野のAI人材育成を目的に「データサイエンス実践講義」を開始
岩手大学とNTTコミュニケーションズ(NTT Com)は11月5日、農学分野の学生向けに、ノーコードAI開発ツール「Node-AI」を使った「データサイエンス実践基礎講義」を開始すると発表した。 同講義では、プログラミングの知識がなくてもデータ分析を体験できる。学生は小グループに分かれ、実データを使った課題解決型学習を行う。課題の選定、解決策の検討、価値の理解、成功基準の設定など、データ分析プロジェクトの全体像を体験する。実データを使った演習を通じて、実践的なスキルを習得し、生成AIや因果推論などの最新技術も学ぶ。 講義内容は、座学でデータ分析の基礎知識、AIの基礎知識、機械学習のアルゴリズム、データ前処理、データ可視化、統計解析、生成AI、因果推論などを学ぶ。また、ハンズオン演習ではNode-AIを使って、データの読み込み、前処理、モデル構築、学習、評価、予測など、データ分析の一連の流れを体験する。ウェブ教材として、NTT Comが開発した「Node-AI Academy」と「ごちきか」を活用し、データ分析の理論と実践を深める。 Node-AI Academyは、Node-AIを使って実際に手を動かしながらデータ分析の理論と実践を学べる初学者向けの教材になる。Node-AIの使い方を学びつつ、データ分析の基礎を習得できる。ごちきかは、データ分析者向けにNTT Comの研究成果を含む時系列解析の専門的な理論やノウハウをまとめ、無償で公開しているナレッジベースである。 岩手大学は、2024年6月に農学部附属の畜産飼料総合教育研究センター(AFSeC)を設立した。同センターでは、農業と畜産業の効率化を目指し、IoTを活用したデータ収集やデータサイエンスの取り組みを開始している。特に、飼料の生産や流通の効率化においては、データサイエンスによる科学的な分析とAIによる予測に基づいた意思決定が重要だが、農学分野ではデータサイエンスの専門人材が不足しており、実践的なスキルを学べる環境も限られている。 教育カリキュラムの整備が遅れていることや、農業・畜産業の現場で役立つ実践的なスキルを学ぶ機会が少ないことが課題とされている。そこで、NTT ComはNode-AIを活用したデータサイエンティスト養成プログラムを開発し、同大学の農学部動物科学科の3・4年生および大学院総合科学研究科農学専攻動物科学コースの1・2年生に提供することになった。