兵庫県知事選の “SNS戦” を助長した、米大統領選と同じ「sanewashing」
SNSを制した者が勝つ
SNSの「ソーシャルな害」は、子供の話にとどまらない。むしろ、誹謗中傷や嘘で構築された扇動、それに陰謀論などは、子供たち以上に大人たちがはまり込んでいるのではないか。それは、先の米大統領選でトランプ陣営が「ハイチからの不法移民が米国人のペットを食べている」といった荒唐無稽な言説を連発しても支持者が離れなかったことからもわかるだろう。 陰謀論のような話を信じる人たちを白眼視するのは容易だ。ただ、いまやどの国でも選挙戦ではSNSを制した者が当選に大きく近づく。 ドナルド・トランプ次期大統領は、以前から巧みにSNSを活用してきた。そのカギは、彼が発信する内容もさることながら、「発信する言葉の形態ではないか」と青山学院大学・地球社会共生学部の樺島榮一郎教授は分析している。 トランプがSNSに投稿する文章は口語、つまり話し言葉なのであり、新聞をはじめとするメディアの書き言葉とは明らかに異質である。しかし、短い文章でメッセージを伝えようとするSNSと口語の親和性は高いという。 そして、「保守、右派のほうがインターネットに合っています。なぜなら、保守というのは、自らの思想を打ち立てるものではなく、変化に対する反発であり何かに対する反応である、という根源的な思想構造自体がインターネットと親和的だからです」と樺島は指摘する。
Shuhei Ikehata