さあ、パリへ 翔ぼう!陸上男子200の飯塚翔太 男子短距離の最多タイ4連続五輪へ
■「燃え続ける」スプリンターが新鋭・鵜沢に挑む 27日から日本選手権 希代のスプリンターが、着実にパリへ迫っている。陸上男子200メートルの飯塚翔太(33)=ミズノ、藤枝明誠高出=がシーズン序盤から立て続けに20秒4台をマークし、出場48枠を争う世界ランク(26日時点)で日本人3番手の41位と出場圏内につける。27日開幕の日本選手権は初日から登場。最後の大一番で3位以内に入れば五輪切符はほぼ手中だ。 昨夏の世界選手権予選。飯塚は覚悟を決めて飛び出した。「周囲についていこうとか、遅れないようにしようとかいうイメージは消した。スタートでどんな位置にいても自分の走りをする」。過去3度の五輪、4度の世界陸上を通じて最高の20秒27。30歳を超えてもなお成長できることを示したベテランは、その原動力を「常に競い合い、燃え続けているから」と言った。 東京五輪を控えた2021年冬。同じ中大OBの竹田一平(スズキ)、染谷佳大(大和ハウス)と練習するようになるまで、飯塚は「1人での活動が長くなり、気持ちが高ぶらなくなっていた」という。だが、後輩と過ごす日々が本能を呼び覚ました。「明日スタート練習をやるとなったら、前日は私生活にも気を使う。勝ちたいので」。練習の質やタイムが自然に上がった。 今季はここまで20秒46が最高だが、5月の静岡国際予選では「今までで一番だったかもしれない」というほどのスピード感でコーナーを抜けた。前半100メートルの脚の回転が上がれば一気に突き抜けそうな予感がある。 今季の200メートル決勝レースで、飯塚の前を走った日本人は鵜沢飛羽[とわ](筑波大)だけ。昨季も2人で国内ランク上位8位までを独占した。日本選手権は12歳年下の新鋭に挑む立場となるが気負う様子はない。「ゴール前まで競い合ってる感じが好き。それを考えると練習にも力が入る」。純粋に勝負を楽しんだ先に、日本の男子スプリント界では最多タイとなる4大会連続の大舞台が待っている。 いいづか・しょうた 1991年6月25日生まれ。御前崎市出身。藤枝明誠高から中央大に進み、2010年世界ジュニア選手権男子200メートルで日本人初優勝。12年ロンドン五輪から3大会連続で出場し、16年リオデジャネイロ五輪は400メートルリレーの2走で銀メダル。200メートルは日本歴代3位の20秒11。ミズノ所属。33歳。
静岡新聞社