【9番街レトロ・京極風斗】芸人になって10年目を迎えて…
神保町よしもと漫才劇場を拠点に活動している芸人「9番街レトロ」の京極風斗(きょうごく・かざと)さんは、極端なほどに“0か100か”で生きている。そんな京極さんは、芸歴10年目に突入。この10年間、時には強引な決断もしながら進み続けてきた。その中で得られた能力もあったんだとか。きっとあなたの今後の10年に役立つこともあるはず。京極さんの経験をぜひ参考にしてみてください! 【9番街レトロ・京極風斗】芸歴10年目を迎えて決めた「覚悟」とは?
9番街レトロ・京極風斗
連載【0か100かで生きてゆく #65】 ー 10年目 ー
Illustration: Kazato Kyogoku 時には強引に、そして時には冷静に この4月で芸歴が10年目になりました。 NSCの1年を含むと丸10年、吉本興業にお世話になっております。 10年ですよ。なかなかの時間です。 その当時生まれた子供が立方体の体積を求めだしてますからね。 その当時立方体の体積を求めてた子供はそのやり方を忘れだしてますからね。 その当時そのやり方を忘れた子供は酒と飯で自身の体積を増やすだけの豚オジになりだしてますからね。 とにかくそれぐらいの時間です。 10年も何かを続けたことのない僕にとってこれはとても偉いことです。 これはかねがね言っていることなのですが、僕は10年目の段階でまだアルバイトをしていたら、芸人を辞めようと決めていました。 バイト自体は5年目ぐらいで強引に辞めたんで早めにノルマはクリアしてたんですが、強引に辞めたこともあり、去年ごろまで200万円ぐらい借金がありました。 それで生活において何か制限したことはないし、返済に関して滞納したこともないのでさほど問題ではなかったのですが、精神衛生上、気持ち悪いは気持ち悪いという状態が続いておりました。 なので自分の中でうっすらと「10年目までに完済しよう」と思っていまして、3月の給料でこれまた強引に完済致しました。 完済した上で、まだ口座に力が残っております。 ので、もう芸人を辞める理由がありません。一生やるんだと思います。 Page 2 10年前、「人生」を吉本興業にベットした自分の判断は、どうやら大きくは間違っていなかったわけですので、もっともっと素直に喜んでいいはずなんですが。 不思議なもので、「辞めない」と決まったら決まったで、少し寂しい気持ちもあります。 そもそも「10年目」を区切りとしていた理由のひとつに、「その段階で辞めてもまだ20代だから」というのがあります。 実際僕は今28歳でして、今から全く新しい仕事を始めるとしても、年齢的な苦労はさほど無いと思います。 少しだけ、それも楽しみだったんですね。 今からもし全く違う仕事で、一からキャリアを築き直すとなれば、僕は相当ワクワクしていたはずなんです。 そりゃ面倒くさいは面倒くさいのですが、僕は今まで築き上げたものを全て捨てて「0になってしまった自分」も大好きなので、それがもうできないとなると寂しいんですよね。 この段階でのリセットはかなり沢山の人を巻き込みますから、さすがに僕の気分ひとつでやっていいことではありませんので。 そういう衝動性を、責任感で抑え込めるようになったのは、この10年間で得られた大事な能力のひとつですね。 もしも他の仕事で過ごした10年であれば、僕はまだもっと精神的に幼かった可能性が高いです。 芸人って実は、どんな職業よりも「常識」を知っていなければいけない仕事なんです。 「一般的に正しいこと」を知っているから、それをズラして笑いにできるわけですからね。 兎にも角にも続けていくことになりましたので、次は20年目の目標を決めましょう。 20年目は、自他ともに認める「確実に売れている芸人」になっていることが目標です。 全国の知名度で80%は超えたいですねぇ。 お楽しみに。 連載『9番街レトロ・京極風斗の0か100かで生きてゆく』は第2・4水曜日に更新! ●PROFILE 京極風斗(きょうごく・かざと) 1995年8月9日生まれ。大阪府出身。吉本興業所属のお笑いコンビ。2019年4月1日に9番街レトロを結成。神保町よしもと漫才劇場を拠点に活動中。 個人チャンネル「京極風斗の道楽ちゃんねる。」ではアートとインテリアを軸に、好きなことを配信。 コンビのYouTubeチャンネルでは日々の出来事やネタの動画を配信。 そのほか、絵が得意で自らデザインしたオリジナルグッズをSUZURIで販売している。 Instagram @kazato.kyogoku ------------- Text & Illustration: Kazato Kyogoku
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