今季マルティンに勝てばファクトリーライダーにしよう……ドゥカティからの提案を突っぱねたマルケスがその理由を語る
先日、6度のMotoGPチャンピオンであるマルク・マルケス(グレシーニ)が、来季からドゥカティのファクトリーチームに移籍することが発表された。一方でファクトリー昇格が有力視されていたホルへ・マルティン(プラマック)はアプリリアへの移籍が決定。この数日間の出来事で、ふたりの運命は大きく変わった。 【動画】MotoGP2024 第7戦イタリアGPハイライト 当初、ドゥカティは今季MotoGPのポイントリーダーにつけるマルティンを、エネア・バスティアニーニの後任として来季ファクトリーチームで走らせると決めていたとされる。しかしながら、これはマルケスがプラマックへの移籍を受け入れるかどうかにかかっていたが、マルケスは記者会見でプラマック入りを否定した。 これを受けてドゥカティが考えついた案は、マルティンとマルケスを今季の成績で競わせ、勝者が2025年のファクトリーシートを手にするというもの。しかしマルケスはこのオプションを拒否。ドゥカティはライダーとしての才能とマーケティング力を併せ持つマルケスを他メーカーに奪われるリスクを回避するため、当初の決定をひるがえしてマルケスとの契約を選択したのだ。そしてかねてよりファクトリー昇格が叶わない場合はメーカーを移籍すると明言していたマルティンは、アプリリアと契約した。 移籍発表後初のインタビューでマルケスは一連の動きについて、2024年シーズンにおいてマルティンと真っ向勝負できるだけのバイクは自分にはないと感じていたと説明した。マルケスが乗っているのは前年型のGP23であり、ファクトリーチームの最新バイクとは仕様が異なる。 「シンプルなことだ。コース内で(シートを)勝ち取らないといけないなら、同じ武器を持つ必要がある。でも今僕はそれを持っていない」 マルケスは母国スペインのラジオ局、SERに対しそう語った。 「でもそれを言い訳にすることはできないし、そもそも僕の速さは証明されていると思っている」 「アスリートは競技面での契約に限らず、キャリアを通じて支援してくれているスポンサーとのあれこれもある。とある多国籍企業は9月に向こう2年(のスポンサー契約)を決めるけど、待てなかった」 またマルケスは、ドゥカティのゼネラルマネージャーであるジジ・ダッリーニャがここ数ヵ月で果たした役割を称賛した上で、2024年シーズンの序盤に自分が結果を残すことがファクトリーのシートを得る上で重要だったと強調した。 「僕がドゥカティにいるのは、ジジのおかげだ」 「最も重要なのはドゥカティのエンジニアたちだ。彼らは僕の2023年型バイクでの進歩を見ていて、それが他の何よりも大きな影響を与えた」 移籍間もない段階からドゥカティのバイクに適応してみせたマルケス。ここまでコンスタントに表彰台を獲得しているが、優勝はまだない。2025年にはファクトリーバイクを獲得するマルケスにとって、当面の目標はまず1勝を挙げることだと言えるが、彼は「僕が学んだことのひとつは、勝つことだけを追い求めるとクラッシュが多くなるから、執着しすぎないことだ」と述べた。
Oriol Puigdemont