きっかけは動画投稿 日本でも増え続けるネットカルチャー出身アーティスト
インターネットの登場が芸能界にも大きな影響を及ぼしていることは、いまさら言うまでもないだろう。 かつては、多くの人たちがスポーツ新聞や雑誌を通じて芸能関連の情報に触れていたが、今ではそういった紙媒体よりもスマートフォンやパソコンを利用し、ネットを介して多くの知識を得ている。 また、情報発信元である芸能人や関連企業も、SNSや公式サイトなどをを使って自ら情報を発信することが当たり前の時代だ。
ネットの登場で変わる芸能界への道のり
そうした中、芸能界への“道のり”にも大きな変化が生じている。 とくに歌手やアーティストに関してはこうした傾向が強いようで、芸能事務所のベテランマネジャーはこう語る。 「一昔前は芸能界を目指すとなれば、大きなオーディションを受けたり、いわゆる売れっ子芸能人に弟子入りしたり、付き人になったりというのが定番コースでした。俳優、芸人に限らず、歌手やアーティストに関しても、著名な作曲家に弟子入りしたり、人気アーティストのバックでコーラスや演奏、パフォーマンスをして腕を磨いたりしながら、オーディションを受けたり、知り合った業界関係者にデモテープを配ったりしてデビューまでの道のりを開拓していました」 もちろん、昔からオーディションでは実力や主催者サイドから求められている才能が最も優先される事項であり、そうした下積み時代に培った経験や人脈がかならずしもプラスに働いていたわけではない。 だがその一方で、こんな話も……。 「昔は芸能界への“入口”が狭かったぶん、プロを目指す才能あるアーティストの情報は自然と業界内で共有される傾向が強かった。他社から活きのいい新人アーティストが出て来ても、まったくの未知の存在というよりは、『アイツは〇〇のオーディションには落ちたけど、惜しいところまでいっていたからな』、『△△のオーディションはダメだったが、光る部分はあった』など、結果的にデビュー前から業界内ではそれなりに知られていたというケースも多かったですね」(同マネジャー) 芸能界と一般社会との距離が遠く、入口が狭かった時代は、新たな才能に関する情報はある程度、芸能界という“現場”に集約されていたようだ。 だが、昨今は動画投稿サイトやSNS、配信アプリの普及などにより、いわゆる芸事を志す者の表現の場や手段が多様化したことで、文字どおりの未知の新人が彗星のごとく現れるケースも増えている。