日本選手の米女子ツアーでのプレーオフ成績は11勝10敗! そのうち9勝3敗と大きく勝ち越している「特定の条件」とは?
1対1のプレーオフは現在6連勝中
日本開催の米女子ツアー「TOTOジャパンクラシック」は竹田麗央がプレーオフ6ホールの激闘の末にマリナ・アレックス(米国)を破って今季8勝目、米女子ツアーでは初優勝を飾った。 【写真48枚】竹田麗央、渋野日向子、原英莉花、小祝さくららが前夜祭でそろい踏み! 日米共催大会を彩る“ドレスアップ姿”を披露 実は、日本人選手は米女子ツアーにおいて、ある条件の元で行われるプレーオフにめっぽう強く今回で6連勝となった。それは、どんなプレーオフなのか? 日本人選手が米女子ツアーのプレーオフを戦うのは今回で22回目である。うち1回は2021年全米オープンでの笹生優花と畑岡奈紗の対決で勝ち負け両方がつくので例外としたい。これを除いた日本人選手VS外国人選手のプレーオフ21回の勝敗は11勝10敗。今回の竹田の勝利で勝ち越したわけだ。悪くない勝率である。
21回のうち1対1でのプレーオフは今回で12回目。そして、その成績は9勝3敗と大きく勝ち越している。しかも、このところ勝ちが続いており、何と6連勝なのだ。 日本人選手VS外国人選手の1対1のプレーオフの歴史をたどってみよう。最初は1982年の「アリゾナコパークラシック」。岡本綾子の記念すべき米初優勝のトーナメントである。 3位で迎えた最終日に69をマークしてサリー・リトル(南アフリカ)とのプレーオフに突入した岡本は2ホール目でバーディーを決めて、この時点で米女子ツアー10勝を挙げていた格上のリトルを撃破。樋口久子に続く日本人2人目の米女子ツアー優勝を飾った。 その後、岡本は1対1のプレーオフを2回戦うが、ともに敗れている。 1993年の「ミネソタクラシック」では小林浩美はシンディ・ラリック(米国)を下して米女子ツアー2勝目をつかむ。ラリックはこの時点で通算5勝の実力者だった。
竹田麗央の叔母・平瀬真由美もプレーオフを制している
1996年には日本開催の「東レジャパンクイーンズ」で平瀬真由美がビッグネームのローラ・デービース(英国)を3ホール目で下して米女子ツアー参戦1年目で勝利をつかんだ。平瀬は、竹田の叔母でもある。ともに米女子ツアー初優勝が日本開催のトーナメントで、しかも1対1のプレーオフを制してのものというのも奇遇だ。 1998年には小林が年間3回も1対1のプレーオフを戦っている。まずは2月の「ロサンゼルス女子選手権」。ここはデール・エグリング(米国)に敗れてしまう。この時点で日本人選手の1対1のプレーオフ成績は3勝3敗である。 小林は8月の「レインボーフーズクラシック」でトレーシー・ハンソン(米国)を1ホール目のバーディーで破って5年ぶりの米女子ツアー3勝目をマーク。ここから日本人選手の連勝がスタートしたのだ。同年11月、小林は日本開催の「LPGAジャパンクラシック」でティナ・バレット(米国)を撃破した。 次のプレーオフは11年後、2009年の「エビアンマスターズ」だ。主役は宮里藍。4位タイで最終日をスタートした宮里はスコアを伸ばしてまずは通算14アンダーの単独首位でホールアウトする。1打差で追っていた最終組のソフィー・グスタフソン(スウェーデン)が最終ホールでバーディーを決めて宮里に追いつきプレーオフへ。宮里はその1ホール目でバーディーを奪って参戦4年目にして悲願の初優勝をつかみ取った。 2011年、日本開催の「ミズノクラシック」では上田桃子がフォン・シャンシャン(中国)を破って米女子ツアーメンバーとしての初優勝を飾る。2017年「テキサス・シュートアウト」では野村敏京が6ホールの激戦の末に大御所のクリスティ・カー(米国)を打ち破った。これで5連勝だ。 そして2021年「全米女子オープン」での日本人対決を挟んで今回の「TOTOジャパンクラシック」で竹田がプレーオフを制して見事6連勝を飾ったのである。 ただ、3人以上のプレーオフとなると日本人選手は急に分が悪くなる。人数が増えればそれだけ勝つ確率は下がるとはいえ成績は2勝7敗と大きく負け越しており、しかもこのところ5連敗なのである。 1対1のプレーオフの連勝が止まるのが先か、3人以上のプレーオフの連敗が止まるのが先か。できることなら連勝はとことん伸ばし、3人以上のプレーオフでの連敗は次の機会で止めてほしいものだ。
宮井善一