JMU、新造船受注30隻規模。今期。船価改善、4500億円超
ジャパンマリンユナイテッド(JMU)の2024年3月期新造船受注隻数が30隻規模となりそうだ。資機材価格高騰などもあり船価が改善したことで、受注額も前期から2000億円強上乗せし、4500億円超となる見込み。 灘信之社長が本紙取材で明らかにした。JMUは今治造船と21年1月、資本業務提携の実行と、LNG(液化天然ガス)船を除く商船営業・設計の合弁会社「日本シップヤード(NSY)」を立ち上げた。受注はNSYを通じて実施している。 今期の受注船種は不明だが、今年7月にNSYがギリシャ船主アルベルタ・シップマネジメントからスエズマックスタンカー2隻を成約し、約4年ぶりにJMUで同船種の建造を再開することなどが表面化している。日本の造船所でスエズマックスタンカーを建造しているのは現在JMUが唯一となっている。 受注を伸ばしたことで手持ち工事量も2年半程度に拡大。「26年納期分が確定しつつあるほか、一部は27年に入っている」(灘社長)。 JMUの23年3月期連結決算は、売上高が前の期比17%増の2661億円と増収だったものの、経常損益が154億円の赤字(前の期は8億円の黒字)、最終損益も156億円の赤字(同5億円の黒字)に転落した。今期は、建造隻数は前期と同程度となるものの、船価改善やコスト削減活動などの効果もあり、損益の黒字化が確実な状況となっている。経常損益段階では「最低でも30億円(の黒字)は達成する」(灘社長)見込み。 環境規制強化に対応する船舶の新・代替燃料化が進む中、新・代替燃料船建造では、従来燃料船と比べ工期が長期化する。中長期的に受注拡大が見込まれるため、効率建造に向けデジタル技術の活用で自動化などを進める。さらに、業績悪化で手控えていた設備投資の再開を検討。有明事業所(熊本県長洲町)での艤装岸壁の強化などを想定する。灘社長はこのような取り組みにより、「30年度には売上高4000億円を目指せる」と語る。
日本海事新聞社