600年古典芸能の歴史体感 外国人も参加 札幌で能のワークショップ開催
【北海道・札幌】現代演劇はもちろん、能や歌舞伎など日本の古典芸能の数々を紹介している札幌市教育文化会館(以下教文)。その教文で、一般の参加者を対象にした能のワークショップが開かれています。
仕舞にスポットを当てたワークショップ
教文では、定期的に能のワークショップを実施。6月23日には「仕舞体験!能の所作を知る」というワークショップが、開かれました。今回は、その前日22日に上演された「Traditional Trial ~能、狂言プラス」の出演者である片山伸吾さん、田茂井廣道さん(共に観世流シテ方)を講師に迎え、仕舞にスポットを当てた内容となりました。 ワークショップには、予定人数を超える24名(外国人の姿も)が参加。仕舞という「能面や装束をつけず、紋付き袴で行う素の舞」のイロハを学びました。 二人の先生が仕舞のひとつ『屋島』を披露した後は、田茂井先生から能の歴史を、片山先生から能の「型」を教わる時間。簡単にまとめますと…。 ●能は観阿弥・世阿弥が室町時代に大成させた文化 ●能は多くの伝統文化の作法を取り入れて作られたので、日本古来の文化を知ることができる ●武家社会の中で育った文化なので、演者は常に命懸け(武士の前で演じるということは下手な芝居をすると斬られてしまう危険性) ●ユネスコが制定している世界無形遺産の最初に登録されたのが能 ●能は「型」の連続で動きが決まる ●頭のてっぺんから爪先まで同じ方向に動くのが基本 ●能舞台が正方形なのは視野が狭い中でも距離感をつかみやすくするため(この距離感をつかめないと落ちてしまう)
日常生活とは違う動作に参加者も四苦八苦
その後「型」の実践へ。単純に「歩く」という動作も、すり足や方向転換の方法など普段とは全く異なる所作のため、参加者はぎこちない動きながらも練習を続けました。そうするとどんどん馴染んできて、様になってくる参加者も多く見られました。 能という芸術の奥深さに触れることができた、内容の濃いワークショップは90分程で終了。今後も教文ではさまざまな舞台芸術あるいは伝統芸能のワークショップを企画しているとのことです。 (ライター・橋場了吾)