阪神・佐藤輝 “リーダー合格通知” 球児監督「完全にチームの真ん中。放っておいても大丈夫」
阪神は17日、今月1日から高知県安芸市で実施していた秋季キャンプを打ち上げた。佐藤輝明内野手(25)が4年目で秋季キャンプ初完走を遂げ、攻守に存在感を発揮。先月22日の新体制発足時から、藤川球児監督(44)に「自覚」を促され続けた若き主砲が「リーダー」の合格通知をゲットした。「相手はリーダーをへし折りに来る」と虎将も警戒を強める来季、セ界の猛者を返り討ちにすべく、充実のオフを送る。 夏を思わせるギラついた太陽の下、佐藤輝は最後の一瞬まで白球を追った。藤川監督率いる新生・猛虎をけん引する自覚を胸に秘め、走攻守全てで追い込んだ17日間。秋空に負けず劣らずの晴れやかな表情で回想した。 「本当にいい練習ができた。しっかり(周囲に)見られてもいいようにやってきた」 充実と解放が融合した最後のウオーミングアップ。ナインの視線や声かけが自然と佐藤輝に集まった。大黒柱を頼もしそうに見つめ、笑う後輩たち。バックネット裏の管理棟から様子を眺めた藤川監督も、待ちわびた瞬間の訪れに目を細めた。 「完全に佐藤選手が真ん中で、それをみんなが見るようなウオーミングアップの形になっていた。(選手らが)向いている方向は、黙って見ていたら(自然と)見えてくる」 新体制が発足した先月22日、全選手、コーチらが集うミーティングで佐藤輝は虎将から「しっかり姿勢を見せていけ!背中を見せていけ」と名指しで告げられた。連続日本一を逃し、25歳の沈んだハートにともった小さな「炎」。それは日に日に大きくなった。秋季練習序盤のウオーミングアップこそ各自が自由に体を動かしていたが、約1カ月が過ぎ、佐藤輝が中心に立つ姿に進化した。もう大丈夫――。心身共に生まれ変わった男に、藤川監督は「リーダー」の合格証書を手渡した。 「(佐藤輝は)オフの取り組みも、チーム全体を見た上での取り組みをすると思う。放っておいても大丈夫」 来季5年目を迎える佐藤輝も、甘えは皆無だ。今キャンプで打球速度が170キロの“メジャー級”で安定し、三塁守備でも堅実さが増した。秋の収穫を体に染み込ませる冬。「しっかり体をつくってケガをしないように。もう一回自分なりに練習して(春季)キャンプに入れたら」。オフの鍛錬で「真のリーダー」に変貌する男に、セ界の猛者も警戒を強めることだろう。指揮官は、さらなる進化を促すことも忘れない。 「相手選手はそういう選手、リーダーをへし折りに来る。責任を背負うというのはそういうこと。いいものを蓄えて、来シーズンをスタートすればいけるんじゃないですかね」 逆襲の25年は名実ともに「猛虎の大黒柱」として迎える。並み居る剛腕を返り討ちにすべく、妥協なきオフを過ごす。(八木 勇磨) ≪就任後初練習で“指名”≫ ◯…藤川監督は就任後初練習となった秋季練習初日の10月22日、練習前の全体ミーティングで約5分間の所信表明を行った。その際、佐藤輝の名前を出して「しっかり姿を見せていけ」とリーダーに“指名”。佐藤輝も「しっかり姿を見せていけと言われたので、背中を見せていきます」と意気込んでいた。