テニス 引退した国枝さんが現世界1位・小田撃破「2カ月前から練習」
「テニス・ドリームテニスARIAKE」(8日、有明コロシアム) 収益の一部を能登地震震災復興支援事業に寄付するチャリティーイベントとして行われた。車いすテニス男子シングルスのエキシビションマッチでは、世界ランキング1位の小田凱人(18)=東海理化=と、昨年1月に引退した国枝慎吾さん(40)=ユニクロ=が対戦。ノーアドバンテージの、6ゲーム先取のルールで実施された。 引退したはずのレジェンドが、健在ぶりを見せつけた。パリパラリンピック王者の小田に対し、第2ゲームでいきなりブレークし、3ゲームを連取。リターンエースを決めた際にはガッツポーズも見せ、現役さながらの気迫が目立った。 その後も巧みなチェアワークから繰り出される的確なショットで優位に立ち、5-1と小田を圧倒した。最後は6-3で勝利し、両手を掲げて歓喜のポーズ。国枝さんは「気合満タンでやりました。2カ月前から練習を始めましたが、体が耐えられなくて腰が痛くなって。あんまり練習しないようにしました」と振り返った。場内からは「現役復帰!」の声が響いたが、国枝さんは「1日だけならいいです」と笑ってかわした。 小田は「相当緊張していた。後半から僕の時間が来たと思ったけど、いつも通りいかなくて」と悔やみつつ、レジェンドとの再戦に「この試合を久しぶりに実現できてうれしい。いや~。満足してます」と、充実した表情で語った。 車いすテニスを長年にわたってけん引してきた国枝さん。パラリンピックに04年アテネ大会から5大会連続で出場し、金4個を含む単複6個のメダルを獲得した。四大大会は通算28勝。東京パラリンピックの金メダルと合わせて「生涯ゴールデンスラム」も達成した。 23年1月に引退したが、今年3月のマイアミ・オープンでシングルスに出場。決勝で世界ランキング1位(当時)のアルフィー・ヒューエット(英国)を破って優勝した。そして今エキシビションマッチでは、小田を撃破。引退から約2年の時間が経過したのにもかかわらず、レジェンドが存在感を発揮した。