世界は使い捨てプラスチックを減らそうとしているのに…韓国は具体的戦略もなし
EUは10あまりの規制品目を具体的に明示
規制は、その対象をはっきりと規定することからはじまる。欧州連合(EU)をはじめとする世界の国々では、使い捨てプラスチックの規制が徐々に強まっている。EUは2019年の「使い捨てプラスチック指針」で、使い捨てプラスチック(SUP: single-use plastic)を「全体または一部がプラスチックで作られ、寿命が尽きるまで生産者に返還されて補充されたり、本来のものと同じ用途で再利用したりするために考案、設計または市販されていない製品」と定義するとともに、飲料用のコップ、飲料容器など定義に当てはまる10あまりの品目を具体的に提示した。加えて、欧州議会が今年4月に可決した「包装および包装廃棄物規則(PPWR)」は「指針」ではなく「規制」であり、プラスチック包装廃棄物の削減を義務付けるとともに、果物や野菜の使い捨てプラスチック包装などを2030年から全面禁止している。 EU諸国はこれに歩調を合わせて、自国の規制を強化しつつある。ドイツは「包装材法」で飲料の使い捨て容器の保証金制を拡大したほか、「使い捨てプラスチック禁止令」でプラスチック製のストローや食器類の販売を禁止するとともに、再利用が可能な食品包装材と飲料用のコップの使用を義務付けた。フランスも2020年に関連法を制定し、使い捨てプラスチック製品の使用量の削減、使い捨てプラスチック製品の包装禁止など、2040年までに使い捨てプラスチックを全面的に市場から退出させるための長期ロードマップを樹立した。EUの外でも、ニュージーランドは2022年から6種の使い捨てプラスチックを皮切りとして、段階的に特定の品目を指定しつつ販売と製造を禁止している。プラスチック廃棄物問題が深刻なインドは2022年に、プラスチック包装材などの19種の使い捨てプラスチック製品の製造や販売などを制限する法律を施行している。 韓国は2022年に「資源の節約とリサイクル促進に関する法律(資源リサイクル法)」を施行し、使い捨て用品の使用を規制している。だが「使い捨て用品」という規定が大きすぎるうえ、具体的な削減戦略がないと批判されている。2022年11月に環境部が紙コップ、ビニール袋、プラスチック製ストローなどの特定品目を指定して規制する政策を打ち出したが、昨年に全国での義務付けを撤回し、これさえも有名無実化している。 グリーンピースの報告書「2023プラスチック大韓民国2.0」によると、ビニール袋、プラスチック包装材、プラスチックカップなどの代表的な9種の使い捨てプラスチックの中で、韓国で「強い規制」の対象となっているものは一つもない。プラスチックカップ、発泡スチロール容器、プラスチック食器類の3種に「規制」、ビニール袋とプラスチック容器の2種に「弱い規制」があるのみだ。一方、EUは9種のうち3種を「強い規制」、4種を「規制」の対象としている。カナダとドイツも、3~4種の使い捨てプラスチックについて「強い規制」政策を取っている。報告書を作成した忠南大学のチャン・ヨンチョル教授はハンギョレに、「韓国の政策は『使い捨て用品』を業種別に管理するよう設計されているが、『使い捨てプラスチック』に焦点を当てて、具体的な品目まで指定して生産や販売を禁止する方向へと進まなければならない」と述べた。 チョン・ボンビ記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )