能登の酒蔵「復興の励みに」日本の伝統的酒造りがユネスコ無形文化遺産に
新米で仕込んだ日本酒の新酒のシーズンを前に、うれしい知らせです。 焼酎や日本酒、泡盛などの「伝統的酒造り」がユネスコの無形文化遺産に登録される見通しとなり能登半島地震で被災した酒蔵も復興の励みになると期待を寄せます。 【写真を見る】能登の酒蔵「復興の励みに」日本の伝統的酒造りがユネスコ無形文化遺産に 「津波はこのあたりまで入ってきていたみたいです」 創業155年の歴史をもつ能登町宇出津の蔵元「数馬酒造」。 元日の地震と、それに伴う津波で被災したものの、県内外の酒蔵の支援などもあり日本酒の製造を今年4月に再開し、先週には新酒の初搾りも行いました。 ■蔵元「先人の努力の積み重ねがあって、それを未来に」 このような中届いた、うれしい知らせ。国連教育科学文化機関=ユネスコは5日、日本酒や焼酎などの「伝統的酒造り」を無形文化遺産に登録するよう勧告しました。 数馬酒造広報 数馬しほりさん 「励まされているような思いがします。今回の伝統的酒造りが評価されたっていうことも、これまでの先人の人たちの本当に努力の積み重ねがあって今に繋がっていると思うので、また私たちも、それを先に、未来につなげていくように努力していきたいという風に思った」 ■手間のかかる工程「もとすり」が濃厚で芳醇な味わいに 掛け声「せーのっ!」 櫂棒と呼ばれる長い木の棒を使い男性2人が呼吸をあわせて米麹と蒸し米、水などを荒々しく混ぜ合わせる作業が始まりました。 日本酒のもととなるもろみを作る前段階に行われる、「もとすり」という工程です。 手間のかかる作業ですが、空気中の乳酸菌を取り込むことで濃厚で芳醇な味わいの日本酒に仕上がるといいます。 自然の力を活かした、昔ながらの伝統技法です。 社員 「作るまでの過程がすごく長くなってしまう。清酒として絞るまでに多分倍ぐらいの日数が時間がかかってしまう」「こういうのがあるんだっていうのをちゃんと残せてるのは良いことなんじゃないかと思う」 ■「世界的な評価は、酒米の農家にも大きな励みに」 日本ならではの酒造りの技法が世界的に評価されたことは能登の酒蔵だけでなく、米農家にとっても大きな励みになると数馬さんは話します。
数馬酒造 広報 数馬しほりさん 「数馬酒造は全量能登産のお米を使ってますので、この酒造りが評価されることによって農家の皆さんもきっと喜んでくれると思う。毎年新酒のシーズンというのは本当に胸が高鳴る時なんですけれども、今年はさらに本当に思いを一層深くしています」 数馬酒造では来週、新酒の瓶詰め作業が始まり、11月下旬には店頭に並べられるということです。 「伝統的酒造り」の無形文化遺産への登録は12月、パラグアイで開かれるユネスコ政府間委員会で正式決定される見通しです。
北陸放送