普通の子どもが犠牲に…ひめゆり学徒隊の悲劇は「人ごとじゃない」 「大きな志持っていなかった」館長、元隊員と働いて変わった思い
「戦争体験をどう引き継ぐか」テーマに長野県阿智村で講演
ひめゆり平和祈念資料館(沖縄県糸満市)の普天間朝佳(ちょうけい)館長(64)が12日、「戦争体験をどう引き継ぐか」をテーマに長野県阿智村中央公民館で講演した。太平洋戦争末期の沖縄戦で動員された元ひめゆり学徒隊の証言映像を交えながら、戦争体験や平和への思いを将来へつなぐ覚悟を話した。 【写真】普天間朝佳館長が紹介した、「ひめゆり学徒隊」の学校生活
資料館に入ったのは、職員募集がきっかけ
35年前にたまたま資料館が職員を募集しており、「大きな志を持って資料館に入ったわけではない」という普天間さん。祖父が戦争で亡くなったが、家族から当時の話を聞く機会もなかったという。だが資料館で元学徒と働くうちに、「戦争がいかに大切な人の命を奪うか実感していった」という。
元館長の故・本村ツルさんの思い、戦争体験をつなぐ覚悟
後世に戦争体験をもっと伝えたいと、2021年には資料館の展示をリニューアルし、学徒隊の生き生きとした学生生活を第一展示室に展示。「今の子どもたちと何ら変わらない人たちが犠牲になったことを伝え、人ごとではないと思ってもらえるように意識した」という。高校生が同世代に沖縄戦について伝えるワークショップや、平和がテーマの映像コンテストを開催していることも紹介した。 元館長で昨年亡くなった本村ツルさんの言葉も紹介。米国からの来館者に、100年先も資料館は続いているか―と問われた際に「必ず続いていると思います」と力強く話したといい、「自分たちは戦争体験を100%継承することはできないが、次から次へとつないでいくことが大事なのだと、言葉を聞いて強く思った」と話した。
この日は、阿智村内の公民館や地域住民などでつくる実行委員会が開いた社会教育研究集会本集会で講演。住民ら約80人が聞いた。