松下幸之助が「社会に貢献しない企業は許されない」と語った背景
社会に貢献し、共同生活を向上させていく責任
そうしてみますと、人、金、土地、物、つまり企業の活動に必要なもろもろの要素はこれすべて本来、天下のもの、公のものであるということになります。したがって、そういう社会のものを社会から預かって仕事をしている企業自体、やはりこれは社会のもの、公器であると考えなくてはならないと思います。 そのように、企業が社会の公器であるとすれば、企業はその活動から、なんらかのプラスを生み出して、社会の向上、共同生活の発展に貢献しなくてはならないと思います。天下の人、天下の金、天下の土地、天下の物資を使って仕事をしている公器としての企業が、その活動からなんらのプラスも生み出さず、なんら社会に寄与、貢献しないとすれば、これは許されないことだといわなくてはなりません。 そういう責任を企業が負っているのであり、それが企業の社会的責任だと思います。つまり、社会の公器である企業が、その活動を通じていろいろなかたちで社会に貢献し、共同生活を向上させていくところに企業の社会的責任というものがあると思うのです。また、同時に社会の側においても、そういった企業の活動を見守りつつ、善意の鞭撻をしていくことが望ましいといえましょう。
松下幸之助(パナソニック[旧松下電器産業]グループ創業者,PHP研究所創設者)