円はさらに10%下落も、日銀が大幅利上げに消極的-ティー・ロウ
(ブルームバーグ): 円相場は引き続き下落し、さらに10%下げて1980年代以来の水準に沈む可能性があると、ティー・ロウ・プライスのグローバル債券ポートフォリオマネジャー、クエンティン・フィッツシモンズ氏が指摘した。日本銀行が大幅な利上げに消極的なためだという。
同氏はインタビューで「現時点で大幅な円高は日本の利益にはならない」とし、「債務の持続可能性を巡る懸念があるため、利上げするにしてもあまりにも大幅な引き上げは望んでいないだろう」と語った。
円相場は90年以来の円安水準にあり、日本の当局者は必要に応じて円を支える措置を講じる用意があることを示唆している。日銀は先月、マイナス金利政策を解除したが、なお米金利を大きく下回っており、円の下支えにほとんど寄与していない。
こうした状況を背景に円は今年、対ドルで8%余り下落し、1ドル=154円台を付けた。フィッツシモンズ氏によると、その主因は、米国の強いデータを受けて米利下げの先送りが見込まれる中で最近進んでいるドル高だ。
市場は日本の通貨当局による介入を促す可能性がある水準として152円の水準を注視していたが、現時点ではそのような明確な兆候は見られない。米商品先物取引委員会(CFTC)の最新報告によると、ヘッジファンドは既に円安を見込んだポジションを2018年1月以来の水準に膨らませている。
ヘッジファンド、円ショートを6年強ぶり高水準に積み上げ-CFTC
同氏は円安進行を見込むが170円を付けることは基本シナリオではないと述べた。
「ショートポジションが大きいほど、それに対抗する介入はより効果的になる。介入のタイミングが適切なら、まさにショートスクイーズにつながるためだ」とした上で、日本の通貨当局について「あるべき場所に戻すためサプライズの要素を達成しようと、彼らはこれを非常に戦術的に考慮する見通しだ」と論じた。
日本の当局者は150円前後で「かなり満足している」ようだとも述べた。ディスインフレのショックにつながるため125円や130円といった円高水準を求めていないとの見方を示した。