「あっという間」に辞めていく若手 どう接するのが正解か?
若手の特徴や強みを「知る」ことから始めよう
若手を「生かす」ためには、まず本人の特徴や強みを「知る」ことが大切です。そこで、私たちリクルートマネジメントソリューションズが行った「新人・若手の早期離職に関する実態調査(2023年)」の結果をいくつか紹介します。なお、回答者は社会人1~3年目(大学・大学院卒のみ)の435人です。 (1)半数以上が「会社を辞めたい」と思ったことがある これまでに会社を辞めたいと思ったことが「ある」(58.8%)が、思ったことが「ない」(41.2%)を上回りました(図表1)。新人・若手に対して、何らかのリテンション施策が必要であることを示唆する結果です。 (2)辞めたい理由は「仕事にやりがい・意義を感じない」(27.0%)が最多 会社を辞めたいと思った理由のうち、影響の大きかったものを最大2つまで選んでもらいました(図表2)。「仕事にやりがい・意義を感じない」(27.0%)が突出して多く、その次に「給与水準が満足できない」(19.0%)という結果になりました。新人・若手は、仕事にやりがいや意義を求める傾向があると言えそうです。 その背景には、新人・若手が個性ややりがいを重視する教育を受けてきたこと、社会貢献意識が高まっていること、SNSを通じて多様な価値観や成功事例に簡単に触れられるようになったことなどがあると考えられます。若手に仕事のやりがい・意義を感じてもらうことが、リテンションのポイントの1つです。 (3)「プライベートの時間が確保できる、さらに充実させる」(24.4%)ことを望む者が多い 「仕事で、このためなら労力をかけてもよいと思うもの」については、「プライベートの時間が確保できる、さらに充実させる」(24.4%)と「高い収入を得る」(23.0%)という回答が特に多く、少し離れて「自分のやりたいことができる」(16.8%)が続きました(図表3)。 若手は、プライベートの時間を重視したい傾向の人も多いことが分かります。図表4は、理想的なワーク・ライフバランスについて、新人・若手と上司・育成担当者に分けて分析した結果ですが、新人・若手の方が、プライベート重視派が多いことが見て取れます。 上司や育成担当者がプライベートは仕事で一人前になってから充実させるものと考えるタイプの場合、プライベートを大切にする新人・若手にギャップを感じてしまうこともあるかもしれません。しかし、新人・若手も決してやる気がないわけではありません。プライベートを大切にしつつ、仕事にも前向きに取り組みたいという場合が多いのです。 (4)若手の半数近くは、転職のハードルが低い 「今の会社を辞めた場合、次の選択肢(転職・起業など)が見つかる」と考える新人・若手は60.0%に上りました(図表5)。 また、そう思う理由として当てはまるもの2つを選んでもらったところ、「条件に高望みはしておらず、どこかは見つかると思う」という回答は44.1%ありました(図表6)。もちろん、「転職市場が活況である」(29.9%)ことも大きな理由ではありますが、実に半数近くが高望みをしていないことが分かります。 つまり、若手は転職のハードルが低く、転職を人生の一大イベントとは捉えていない人が多いようなのです。この背景には、転職が当たり前となったこと、オンライン面談などが可能になりかつてよりも活動しやすくなったことなどがあると考えられます。 (5)自分の人間性や価値観を認め、気持ちを受け止めてくれる上司・先輩を求めている 「自分のダメなところや悩みなど何でも話しやすい上司・先輩」については、「仕事ができて的確なアドバイスがもらえそうな人」(30.3%)、「普段から自分の人間性や価値観を認めてくれていると感じる人」(25.5%)、「押し付けがましくなく、自分の話や気持ちを受け止めてくれると感じる人」(24.8%)が上位となりました(図表8)。 相談先として、仕事ができる人が挙がるのは順当でしょう。興味深いのは「人間性や価値観を認めてくれていると感じる人」「自分の話や気持ちを受け止めてくれると感じる人」が上位に来ていることです。若手は、人事や上司・先輩に、まず自分の価値観を認めてほしい、自分の気持ちを受け止めてほしいと思っているのです。彼らの真意を聞き、一旦受け止めることから始めてみてはどうでしょうか。