「えっ?野生のカニが入ってくる??」新人スタッフも驚愕!来館者の足下を歩くアカテガニは“脱走中”ではなく“移動中”、水族館を通過してどこに行く? 三重・伊勢シーパラバイス
水族館を“通り道”として利用する、野生のカニ達がいる。 「えっ?野生のカニが入ってくるんですか??」と新人スタッフも驚くが『伊勢シーパラバイス』では“当たり前”となった光景。それが、館内を通過する野生のアカテガニ達の姿だ。来館者の足もとを長い脚で横移動。歩き方はそこまで早くないが、来館者の邪魔にならないように、上手く通過していくという。
伊勢シーパラバイス担当者によると、館内で野生のアカテガニが目撃されるようになったのは、何十年も前のこと。そのため、新人以外のスタッフ達は「(アカテガニを見ると)“今年も夏が来たな~”と思うぐらい」という反応で、新人スタッフも野生のアカテガニのいる環境にすぐに慣れるいう。
河口付近の土手や海、河川に近い林や森などの小高い山に生息するアカテガニ。同館の担当者によると、昼間は岩の隙間や倒木の下などの隙間、土に穴を掘って暮らしている雑食性のカニで、トレードマークは、背中についた“にこちゃんマーク”のような模様だ。
しかし、なぜ野生のアカテガニが水族館を歩いているのか?その理由は、伊勢シーパラバイスが建つ“場所”が関係していた。 初夏から秋にかけて、産卵期を迎えるアカテガニ。産卵時には、汽水域や海などに移動する習性があるという。その際、山と海の間に建つ伊勢シーパラダイスが、移動時の“通り道”になっているというのだ。 伊勢シーパラダイスでは、敷地内で捕まえたアカテガニをケースに入れた特別展示を実施中。同館の担当者によると、展示で館内移動のことを知った来館者から、“アカテガニを館内で見つけた”と報告があることも。 また、「(水槽のなかで)隠れていることも多かったこと、馴染みのある生き物ということもあり、水槽を覗いてアカテガニを探される方も多かったです」と展示されたアカテガニを見た来館者の様子を明かした。ちなみに、アカテガニのほか、同館ではフナムシもよく敷地内に入ってくるという。
『伊勢シーパラダイス』では、毒を持つ「スベスベマンジュウガニ」など約10種類のカニを飼育。そのため、館内を歩くアカテガニの姿に驚く人も多いが、このアカテガニは野生の“毒なし”のカニ。「脱走中」ではなく、川を目指して移動中なので、見つけたら優しく見守ってほしい。移動は夏にピークを迎えるが、担当者曰く「今年はまだ気温が高いため、9月以降も見られるかもしれない」とのことだ。