「糖」を過剰に摂取すると物忘れが進むのはなぜか?【介護の不安は解消できる】
【介護の不安は解消できる】 認知症の方の中には、ある時期を境に急激に認知機能が低下するケースがあります。 認知症の疑いは何科を受診する? 大事なのは診療科で選ばないこと その要因が吸収不良だったと判明するケースは少なくありません。とりわけレビー小体型認知症やパーキンソン病によって発症するパーキンソン病認知症の方は吸収不良を引き起こしやすく、食事に含まれる栄養素を腸管で十分に吸収できません。 腸内には善玉菌や悪玉菌、両者の中間にあたる日和見菌のほか、カンジダ菌と呼ばれるカビ(真菌)が存在しています。吸収が悪い状態では腸内環境も乱れやすく、腸内の善玉菌が減ってカンジダが増殖しやすくなります。カンジダは腸内で生き残ろうとする際、エネルギー源として「糖」を多く必要とするので、脳に糖を大量に摂取するよう人間にとって誤った指令を与える物質を出します。それにより糖を多く含む飲料水や炭水化物を大量に取ると高血糖(糖毒性)の状態が続いて脳細胞はダメージを受けるので、認知機能の低下が進んでしまうのです。 ある70代後半の女性は、レビー小体型認知症と診断を受けてからも「住み慣れた自宅で過ごしたい」と1人暮らしを続けていました。ところがある時期を境に、急激に物忘れの症状が進行し、心配した娘さんが様子を見に行くと、台所やダイニングテーブルにおびただしい数の栄養ドリンク剤の空き瓶が並べられていたといいます。本人に話を聞くと、どうやら1日15本を飲む習慣を、数カ月間も続けていたそうです。慌てた娘さんに連れられてかかりつけ医を受診したところ、急激な物忘れの進行は糖の過剰摂取が原因と判明しました。 認知症が進行すると、記憶力だけでなく全身の筋力も衰えます。転倒すると寝たきりのリスクはもちろん、誤嚥を起こすと最悪のケースでは死に至る危険性が高いです。 急激な認知機能の低下を防ぐためにも、家族は本人に異常な糖分摂取の習慣がないかチェックしてください。不摂生をしているのであれば、原因となる食べ物の摂取を控えてもらう必要があります。前出の女性は、栄養ドリンク剤の摂取を控えたところ、急激な認知機能の低下は見られなくなりました。 ほかにも、ビタミンやミネラルは認知機能や思考力を維持させると報告されています。ご家族が料理される際は、なるべくビタミンやミネラルを多く含む野菜や果物、海藻類や小魚、豆類、肉類を意識した食事メニューを心掛けるようにしましょう。 ▽園田康博(そのだ・やすひろ)1986年昭和大学医学部卒業後、昭和大学第三内科入局、亀田総合病院、蒲田内科クリニックを経て、2015年東京メモリークリニック蒲田を開院し、院長を務める。