<STAP細胞問題>小保方氏らも参加する「学術シンポジウム」で決着を
STAP細胞はあるのか、ないのか――。小保方晴子氏らが作成したとされるSTAP細胞は「ES細胞によく似ている」という論文を先月発表した理化学研究所の遠藤高帆(たかほ)上級研究員が、今週10月1日、合同取材でその内容について解説しました。この遠藤氏の論文の内容を振り返りながら、“STAP細胞論争”をどのように決着させるのがいいか、考えてみます。
STAPは「ES細胞」の可能性が高い?
遠藤氏の論文は9月23日に日本分子生物学会の学会誌『ジーンズ・トゥー・セルズ』で発表。ES細胞とは正確には「胚性幹細胞」といって、胚からつくられる「万能細胞」のことです。小保方氏らがオンライン上に公開した遺伝子配列のデータを、遠藤氏が独自の方法で解析したところ、STAP細胞とされる細胞すべての8番染色体に「トリソミー」が生じていることがわかりました。「性染色体」を除く「常染色体」は、通常、同じ長さのものが2本で1組になっていて、それが3本1組になっている状態を「トリソミー」といいます。 そして「8番トリソミー」の特徴は、専門家の間では、ES細胞を長期培養すると見られることが知られています。保存されているES細胞のうち、2~3割に8番トリソミーが見られるという報告もあります。 STAP細胞とされた細胞では、19種類ある常染色体のうち「第8染色体」と呼ばれるものが、トリソミーになっていました。通常、8番染色体がトリソミーになったマウスは胎児のうちに死亡します。8番トリソミーのマウスがごくまれに誕生する可能性は否定できませんが、STAP細胞と称されたものは、ES細胞である可能性が高い、ということになります。 なお小保方氏らは、STAP細胞の塩基配列データを2種類公開しています。遠藤氏の解析で、そのうち1つには、ES細胞でみられる「多能性遺伝子」が高レベルで発現していたのですが、もう1つでは多能性遺伝子がまったく発現していないことがわかりました。後者は、ごく普通の脾臓細胞である可能性が高いといいます。8番トリソミーが生じていたのは前者でした。