俳優ふせえりさん 亡き父と約束したカルシア・マルケス「百年の孤独」読破【死ぬまでにやりたいこれだけのこと】
【死ぬまでにやりたいこれだけのこと】 ふせえりさん(俳優) 10月からも新ドラマなどで忙しい、ふせえりさんの「死ぬまでにやりたいこと」は、今年文庫化され異例のベストセラーとなっている世界的な文学の読破。亡き父親との約束だという。 【写真】三吉彩花の方向性に心配の声…攻めの肌露出に肩タトゥー、過去には“元カノポイ捨て彼氏”との交際懸念も ◇ ◇ ◇ ガルシア・マルケスの「百年の孤独」は20代の頃に父親から「これは読まなきゃいけない!」と渡された本なんですよ。うちの父親は「世界の文学は読まなきゃダメだ」といつも言っていたくらいすごく本を読む人でしたから。 そんな父から渡されたのがハードカバーの「百年の孤独」。当時はまだ刊行して10年ほどで現代文学の先端だったんですよね。 でも、いざ読もうとすると2段組みで字が小さい。登場人物の名前はカタカナで覚えられない。もう最初の方でストーリーをイメージしづらくて入り込めず「もうダメだ」とすぐ挫折しました(笑)。 若い頃って世界の文学に挑もうとしても途中で置いておいちゃうこと、よくありますよね。 「落ち着いたら読もう」と思いつつ、若い時分は芝居を一生懸命やって忙しくて。役者の仕事がうまくいくとドラマの脚本、舞台の台本を次々に読まなきゃいけない。それも覚えるまで何度も読む。だから「百年の孤独」は本棚に放ったらかしになっちゃって。 30代になると、ありがたいことにますます忙しくなっていました。たまに時間が空いたら読もうかと思いますが、普通の本と違って作品世界に入り込むのに覚悟がいるんですよ。 途中まで読んだページから読み始めると「ブエンディアって人、誰だっけ?」とまるで思い出せず、やはり読むのをやめてしまう(笑)。 そのうち子どもができて「妊娠中ならゆっくり読める」と思っていたらツワリがひどくて、とても読書どころじゃなかった! 40代は子育てで大忙し。幼稚園から受験まであっという間で。 その間も「百年の孤独」は常に本棚にあって、手には取るんです。でも、進まない。定期的に手に取るから、読まないのに本はだんだんくたびれて黄ばんでいきました。 一昨年、父親が亡くなってしまったんです。その後は「百年の孤独を読むのはお父さんとの約束だったなあ」と思い出すようになりました。 いい加減読もうと決めたのに、去年は帯状疱疹になってしまったんです。症状が悪くて寝ている期間が長かった。 だから、今年、必ず読みたい! ちょうど今年は文庫化して日本でヒットしているとか。読む人が増えていると聞きました。 ■この数十年でやっと100ページは読み進めたけど… この数十年で100ページは読み進めたらしく、100ページのところにしおりが挟まっていました。そのページを読むと「ここは確かに何度も読んでるな」と思い出す(笑)。 読んだ方のお話を聞くと「面白いよ」と言われますし、確かに面白い箇所はすらすら読めますよね。 このインタビューコーナーのタイトル通り「死ぬまでに」読み終えたとしたら、人生100年時代に100歳で「百年の孤独」を読むことになるかもしれません。 今となっては貴重なハードカバーの「百年の孤独」は父親の思い出の品のひとつ。ちゃんと読んで父親に報告したい。 仕事ではとくに「これを死ぬまでにやりたい!」ということはないんです。私は野望がない(笑)。お芝居ができればそれでいい。どんな役でもいい。来た球(仕事)を打つタイプなんです。だから野望があるとすれば現状維持。 ただひとつ挙げると、年齢がいった俳優が中心のドラマがあればやりたいと思います。アメリカでも韓国でも年配の人がたくさん出るドラマって結構ありますけど、日本だとそこのジャンルはあまりないですよね。舞台だとあるんだから、映像でも50、60代以上が活躍するドラマがあれば、ぜひやりたい。 ■メキシコや南米の遺跡を巡りたい プライベートでは、死ぬまでに海外の遺跡巡りをしたい。メキシコとか南米に興味があるんです。それこそガルシア・マルケスが生まれたコロンビアに行って、「百年の孤独」を読むのもいいかも。もう行ったらさすがに読むしかない(笑)。ストーリーもうまくイメージできるかもしれないから。読書のために南米に。 日刊ゲンダイで宣言した手前、絶対に読まなきゃ。 ▽コメディーの舞台を経て女優に。映画、ドラマで活躍。夫は映画監督、演出家の三木聡。