虎のソナタ 記者のセンス最も問われるキャンプ最終日 全員同時刻に練習終了…いかに効率よく取材できるか
秋季キャンプは打ち上げだった。練習は午前中のみの、いわゆる「半ドン」で終了。選手は夕刻に空路、関西に戻った。 【写真】タイガースのロゴ入りショベルカーに乗って新ファーム施設を視察する阪神・平田勝男2軍監督「さすが阪神園芸やね」 練習が早く終わるからトラ番の仕事が楽だろうと思った読者のみなさま、それが違うんです。 普段は各自のメニューが終了した選手が、時間差でホテルへ戻る。つまり順番に取材すればいい。ところが、最終日は全員が同時刻に練習が終わるわけで、いかに効率よく質問して、いい言葉を引き出し、別の選手を取材に移るか。記者のセンスが最も問われる瞬間といってもいい。 充実感に満ちた顔が多かったようで、藤川監督の初陣キャンプは、まずまず手応えあり、と言っていいのかもしれない。 トラ番サブキャップ・原田遼太郎に振り返ってもらった。 「これまでと違い『量より質』を追い求めたキャンプでした。一人が長時間打つのではなく、複数の選手が交互に打つ。小谷野新打撃チーフコーチの思惑もあるんでしょうが、選手も今までより少ない球数の中で自分の100%のスイングを目指していました。小谷野コーチはパ・リーグ育ち。パ・リーグみたいな打者が育つのかな」 今キャンプで結果が出るわけではないので、お楽しみに! という部分は多いようだ。 「3試合の紅白戦も、良かったと思います。練習で取り組んでいたことが、実戦でどうなるかを、すぐに試せたという話をしている選手が多かったです。佐藤輝もその1人でした」 取材する側も、実戦が組み込まれたことで「結果」で記事が書けた。17日付サンスポ3面の井坪は、紅白戦のおかげといっていい。練習でいくら「打撃がいい」「守備がいい」とトラ番が一生懸命に書いても、読者に伝わりづらい。でも、試合をして、ヒットを打って、指揮官がホメてくれたおかげで、もう虎党の脳裏に「井坪という面白そうなヤツがいる」とインプットされたはず。ドラフト同期の浅野(巨人)と比較してくれたおかげで、随分とイメージは固まった。 来季は高卒3シーズン目。プロで一流になる選手は、ドラフトから3年目は1軍に定着する時期。注目選手として、来春のキャンプを楽しみにしますか。