新・防災グッズ「生活のソナエ袋」 知識の備えも大事な防災
食料品・生活必需品などに並ぶ備蓄品の一つに
首都直下地震や南海トラフ巨大地震がひとたび起きてしまうと、これまで日本が経験したことがないような甚大な被害に見舞われる可能性が高い。例えば、南海トラフ巨大地震の場合、国は最悪で32万人の死者が出ることを想定。被災する範囲も東日本~西日本の広い地域になると考えられている。また、極端に人口が集中する首都圏を地震が襲った場合、行政機関が把握している避難所以外で生活する被災者が多く出ることも予想される。 いずれのケースでも、支援が行き届かないケースはあちらこちらで発生し、食料品や生活必需品だけでなく、生活再建の制度に関する情報もなかなか必要な人に届かないだろう。岡本弁護士は「グッズに必要な知識を掲載することで、大災害発生後の支援の漏れを少しでも防ぐことにつながってほしい」と期待する。 防災力向上のためには一人一人が自分の身は自分で守る「自助」、地域・企業・ボランティアなどで互いに助け合う「共助」、国・都道府県・市区町村などの行政よる「公助」の3つが連携することが重要だ。生活のソナエ袋は、いざという時にどのような支援を受けられる可能性があるのかを知り(自助)、それを家族や知人などに伝える(共助)ことで、被災者生活再建支援金などの行政の支援を受ける(公助)ことにつながる便利なグッズになりそうだ。 東京都は備蓄状況を定期的に確認する機会として、11月19日を「1年に1度はびち(1)く(9)の確認」という語呂合わせで「備蓄の日」に定めているが、こうした機会に、懐中電灯の使用確認や電池の入れ替え、食料品・生活必需品などと共に、知識を備えるグッズを備蓄品の候補として検討してはどうだろうか。嶋屋の担当者、岡田奈津子さんは「被災した後には、申請書類などがたくさん必要になるが、ただでさえ生活が混乱しているのでバラバラになりやすい。り災証明書も持ち歩くことが多くなるのでボロボロになってしまいがちだと思う。水にも強い生活のソナエ袋に入れれば、ひとまとめにしてきれいな状態で保存できる」と具体的な活用方法を提案している。 生活のソナエ袋は当初、嶋屋主催のセミナーの参加者にノベルティとして配っていたが、好評のため、11月から一般にも発売。銀座嶋屋本店で店頭販売しているほか、インターネットによる通信販売も行っている。価格は500円(税別)。 飯田和樹・ライター/ジャーナリスト(自然災害・防災)