春雨だけを食べている不足する栄養とは？管理栄養士が解説

春雨は麺のように細長く、つるっとした口当たりやコシのある噛みごたえが特徴の食材です。低カロリー食品としても人気ですが、ほかにはどのような栄養が含まれているかご存じでしょうか？この記事では、日々さまざまな食材を使って料理を作る管理栄養士が、春雨の栄養について解説します。身近な食材である春雨について知り、日々の食事や健康づくりに活かしてくださいね。 【写真】春雨だけを食べている不足する栄養とは？管理栄養士が解説 ■春雨の原料は？ 春雨の栄養を知るために、まずは原料を理解しておきましょう。 スーパーで乾燥春雨を手に取ると、多くのパッケージには「緑豆春雨」と書かれているはずです。現在、日本で流通しているほとんどの春雨は、緑豆から作られています。ほかには、じゃがいもやさつまいもを原料とした春雨も市販されています。 緑豆春雨が作られている場所は、中国です。緑豆のでんぷんを加工して製造されており、細くて透き通った見た目と、コシと弾力のある食感が特徴です。煮崩れしにくいため、炒め物やスープなどの加熱が必要な料理に向いています。中華料理で人気のメニュー、麻婆春雨や春巻きの具材にもぴったりです。 国産の春雨は、じゃがいものでんぷんを原料としています。食感はもちもちとしており、味がなじみやすいため、サラダや酢の物にするのがおすすめです。 さつまいものでんぷんから作られるのが、韓国の春雨です。韓国料理のチャプチェに使われているように、熱に強い特徴があります。色はグレーがかっており、コシが強くもっちりとした食感が楽しめるでしょう。 ■春雨の主な栄養は糖質 春雨の原料となる食材は製造国により異なりますが、主に「でんぷん」から作られることは共通しています。同じでんぷんを主成分とする食材には、ご飯やパン、麺がありますね。これらの食材は、糖質を多く含むことで知られています。春雨も同様に、糖質を主成分とする食材なのです。 春雨は乾物であるため、料理に使う際はゆでて戻す必要があります。春雨の種類により若干差がありますが、ゆでて戻した春雨の重量は乾燥状態の約4倍になります。つまり25gの乾燥春雨を戻すと、100gになる計算です。 ゆでた春雨100g当たりのエネルギーと糖質を見てみましょう。緑豆春雨では78kcalと19.1g、いも類を原料とした春雨では76kcalと19.1gとなり、原料による差はほぼないことがわかります。  次に春雨と同じ、でんぷんを主成分とする食材のエネルギーと糖質を確認してみましょう。ご飯100gは156kcalと35.6g、食パンは248kcalと42.2g、スパゲッティは150kcalと29.2gとなります。これらの食材と比較すると、春雨はエネルギーと糖質が少ないことがわかりますね。 ■春雨はダイエットの味方 乾物である春雨は水分を含むと膨らむため、腹持ちがよい特徴があります。また弾力がある食材なので、よく噛んで食べると満腹感が得られやすいこともポイントです。春雨には食物繊維も含まれており、お腹の調子を整える効果が期待できます。 春雨は上記のメリットがあることから、ダイエットの味方になる食材といえるでしょう。 しかし春雨には、糖質と食物繊維以外の栄養素がほとんど含まれていません。ダイエットに効果的だからといって春雨ばかり食べていると、栄養不足になるおそれがあります。 食事の栄養バランスを整えるため、春雨はさまざまな食材と組み合わせて食べることをおすすめします。サラダやスープ、鍋料理にすると、たくさんの食材と一緒に食べられますね。春雨を食生活へうまく取り入れて、エネルギーや糖質の調整に役立ててください。 【参考文献】 文部科学省「日本食品標準成分表2020年版（八訂）」 文部科学省「日本食品標準成分表2015年版（七訂）重量変化率」 全国農業協同組合連合会 Apron エプロン「いも類のでん粉が主原料の【国産はるさめ】」 独立行政法人 農畜産業振興機構「はるさめと国産でん粉」 ライター／いしもとめぐみ（管理栄養士）