【スターダム】選手から絶大な信頼を寄せられるリングアナが見る景色「“トイレタイム”はない」
キッド「スターダムファミリーの一員」、玖麗「おちゃめなところもある」
ここでスターダムの選手に登場してもらおう。まずはスターライト・キッド。今年NEO GENESISというギャル系ユニットを立ち上げ、ノリにノッテいる選手の一人だろう。 「(安藤さんは)なんでもできる人。そして女子プロレスのリングアナウンサーの伝統を引き継いでいる人、ですね。実はキャッチフレーズも安藤さんが考えてくださっている部分もあって。あとビッグマッチのワイシャツとネクタイは、その日のメインに出る選手の色に合わせていたりします。フリーですけど、スターダムファミリーの一員だと思っています」 そしてもう一人、玖麗さやか。すでに新人の域を脱し、今年一番成長したといっても過言ではない選手だろう。 「実はセコンド業務を最初に教えてくださったのは、安藤さんなんです。何もわからない自分たちに、セコンドとはどういう存在か、何をすべきかを教えてくれました。当時は怖いイメージだったのですが、おちゃめなところもあって『今日もときめいてる?』(玖麗の得意技名が『ときめきスピアー』)と話しかけてくださったり、目が合ったら私のポーズを真似したりしてくれます」 玖麗の話にも出てきたが、安藤はセコンド論を語ることがあるそうだ。 「セコンドって何のためにいるのか……もちろん自分のユニットの仲間をサポートするのもあるんですけど、一番はリング上の選手が安心して試合をできるようにするためにいるわけですよ。私も本部席で一番近いところで試合を見ていますけど、試合とセコンド、レフェリー、会場のお客さんを見ているわけです。セコンドはリングの選手が安心して試合ができるように、例えばコスチュームの一部が客席に飛んで行ってしまったらすぐ回収しないといけないですし。リングを拭く雑巾が何かのきっかけで見える場所に落ちているなんてカッコ悪い状況になると、それはセコンドの責任なんだよと。そういう基礎的な部分というのができないと、いいレスラーにもなれないと思います」 最後に安藤がプロレスラーについて気になることを語ってくれた。 「あるレスラーが、会場の空気を動かすということを意識するようになったんですよ。レスラーとして、違うステージに入ったのかなと。こうなると、彼女はベルトがなくても興行の中で一番インパクトを残すことができるようになるんです。ほかにチャンピオンがいるのに、全試合終わったあとにスポットライトが当たっていたのは彼女だね、と。でも、ベテランと呼ばれる選手ががむしゃらにベルトを獲りに行くのも嫌いじゃないです(笑)。とにかく、今のスターダムは全試合を楽しんでほしいですね」
橋場了吾