早大の副将は世代トップのくせ者スクラムハーフ 最後の早明戦は「ビッグプレーで沸かせたい」
世代トップのSH、花園準優勝や高校代表歴も
兵庫県出身の宮尾は3歳の時に兵庫ラグビースクールで競技を始めた。中学時代は、兵庫スクール代表などで活躍したが、高校は地元ではなく、京都・京都成章高校に進んで、親元を離れて寮生活をしながら研鑽(けんさん)を積んだ。 高校1年生から3年連続で花園に出場し、3年時はスピードある仕掛けとパスさばきで、京都産業大学のCTB/FB辻野隼大、帝京大のLO本橋拓馬(ともに4年)といった同期とともに花園決勝に進出。佐藤のいた桐蔭学園に敗戦したものの、京都成章初となる準優勝に大きく貢献した。高校2年時はU17日本代表、高校3年時には高校日本代表にも選出された。 世代トップのスクラムハーフだった宮尾は、東西の強豪大から誘われたものの、2019年度、早稲田大をキャプテンとして大学日本一に導いた日本代表SH齋藤直人(現・フランス・トゥールーズ)への憧れや、「試合に出られそうな大学にいくのか、自分にとって厳しい環境に行くのか悩んだときに、より競争のある環境でプレーしたい」という思いから、早稲田大学へ進学を決めた。
大学3、4年で苦闘も、来春からは「プロで勝負」
早稲田大学入学直後は、けがで少し出遅れてしまった。だが、宮尾はその遅れを取り戻すかのように、夏合宿からAチームの9番として大きな存在感を放つようになった。「1年生のとき、パスもキックもめっちゃくちゃ練習しましたね」と懐かしそうに振り返った。 身長165cm、体重70kgと決して大きな体格ではないが、何をしてくるかわからない〝くせ者〟タイプのSH宮尾。大学2年時、大学選手権準々決勝・明治大戦のインターセプトからのトライ(後半19分)で勝利に導いたプレーが大きく印象に残っている。試合前に対戦相手のビデオをあまり見るタイプではないが、「相手FWのアタックはSOを経由することが多かったので」と、直感の判断でSOからのパスをインターセプトし、そのまま約75mを走りきってトライを挙げた。 ただ宮尾は、大活躍だった1、2年時とは違い、大学3、4年時はなかなか9番を着ることができていない。「ラグビーを始めてから大学2年までずっと9番で、今、リザーブからの出場を勉強中です」と悔しそうな表情を見せた。高校の恩師である京都成章の湯浅泰正総監督に「スタメンが当たり前の人生だったが、今、リザーブをやった経験が、絶対リーグワンに行ったら生きてくる」と言われ、励まされたという。 愛称は「まぁ」。茶髪に見える髪は地毛で、曽祖父がドイツ人だという。自らの強みを聞くと「ロングのパスも放れるし、キックも蹴れるし、自分から仕掛けられる。アグレッシブにアタックできますし、全体的にできることが多いのかな」と胸を張った。 「パス、ラン、キックとスキルレベルを一段上げつつ、ゲームコントロールをもっと学んで、早く上のレベルでプレーしたい」とラグビーに対してあくまでも貪欲(どんよく)なSH宮尾。来春からは「プロで勝負したい」とリーグワンの強豪チームに進み、将来は大学の先輩であるSH齋藤直人のように海外でプレーすることに思いをはせる。