眠れるサムライ債市場、インドネシアのブルーボンドで覚醒へ
(ブルームバーグ): インドネシア共和国が14日、ブルーボンドを含むサムライ債の発行に向けて投資家の需要調査を開始し、今年に入り発行が低調な同債市場をにわかに活気づけた。
定期的な円債発行体であるインドネシアは昨年5月にサムライ債で初めてのブルーボンドを発行した。主幹事によると、今回は検討している6年限のうち4年限で海洋保護と気候変動緩和のための資金を調達する可能性がある。
環境への配慮を装う「グリーンウォッシュ」に対する懸念が高まり、環境事業に資金使途を限る債券発行に対する世界的な監視が厳しくなる中での起債となる。一方、発行体にとって円建てでの借り入れコストは、日本銀行が3月にマイナス金利政策を廃止した後も依然として世界最低水準にある。
ブルームバーグ指数によると、国内外の発行体が今週発行した円債の利回りは平均1%弱で、ドル債の利回り約5.5%を下回る。
今年は円相場のボラティリティーの高まりがサムライ債発行を抑制しており、インドネシアの起債が2件目となる見込み。主幹事によると、発行条件は17日に決まる予定だ。
支出増
プラボウォ次期大統領が1兆3000億ドル(約203兆円)規模の経済活性化に向け新首都建設などの歳出拡大を計画する中、インドネシアの資金調達ニーズは高まっている。同国政府は今年、約320億ドルの資金調達を計画している。
ブルームバーグがまとめたデータによると、24年に約2300億ドルという記録的なペースで発行されているグリーンボンド(環境債)と比べると、ブルーボンドはまだ発行が珍しい。
気候変動リスクが高まり、海洋プラスチックごみ問題が深刻化する中、インドネシアやフィリピンなどの新興国市場で水資源関連プロジェクトのために資金を調達する動きが出てきている。フィリピン・アイランズ銀行は初のブルーボンド発行を準備している。
近年は複数の日本企業もブルーボンドを発行しており、投資家の高い需要も確認されている。今年は1月に商船三井が発行した。
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Ayai Tomisawa, Claire Jiao