逆さづりなど「不適切保育」の認定こども園、園児1人がPTSDに
2021年度に神奈川県秦野市の認定こども園「やまゆりこども園」で、40代の女性保育士が少なくとも園児3人をたたいたり、逆さづりにしたりする「不適切保育」があり、うち1人が心的外傷後ストレス障害(PTSD)を発症していたことが29日、判明した。保護者らが県庁で開いた記者会見で明らかにした。園などへの損害賠償請求を検討するという。 この日、園が設置した第三者委員会の調査報告書も公表された。 報告書によると、22年2月、4歳児クラスの担任だった女性保育士が、たたきあって遊び始めた園児2人のうち1人の頭を3、4回たたいた。さらに迎えに来た母親の前でも「悪いことをしたから怒られた」と手をつかんで話し続けた。 これをきっかけに女性保育士の行為が問題視され、もう1人の園児に少なくとも数カ月間にわたって「呼びかけ」のつもりで強く手のひらで肩や背中をたたくような行為をしていたことも発覚した。 さらに興奮していた別の園児を落ち着かせるため、両足首を持って「逆さづり」もしていた。第三者委はこれらを「不適切保育」と認定。園側も「報告内容に異議はなく、再発防止に取り組む」とコメントした。 一方、保護者らによると、被害を受けた児童の1人は不眠などに悩まされ、PTSDを発症したという。報告書では認定されておらず、保護者の一人は「保育士から毎日のように暴言や暴力行為があり、友だちがたたかれるのを目撃することもあった。子どもたちの人生にどれほどの影響を及ぼすか考えてほしい」と憤った。 この保育士は22年9月に退職。23年2月に暴行容疑で書類送検され、その後不起訴処分になっている。【蓬田正志】