「咳止め薬」だけじゃない! がんや糖尿病の治療薬も…世界規模の「薬不足」で"買い負け"の可能性も
「世界的に薬不足になっている今、薬は取り合いになっています。薬価の安い日本は“買い負け”てしまう可能性もあります」 コロナ禍のときもワクチンを日本はなかなか入手できなかったが、そのような状態がさまざまな薬で起こっているという。 すでにすい臓がんの治療薬「アブラキサン」や前立腺がんなどの治療薬「リュープロレリン」が不足したこともあったという。 「今、急性期患者を受け入れる比較的大きな病院で喫緊の問題となっているのが、血液製剤であるグロブリン製剤の不足。川崎病やギラン・バレー症候群などに使われる治療薬ですが、幅広い疾患に使われるようになったため、必要な量を入手するのが困難な状態です」 糖尿病患者も危険にさらされている。 「GLP-1受容体作動薬という糖尿病治療薬が、日本では認可が下りていないダイエットを目的として美容クリニックで使われるようになったため、供給不足になっているのです」 さまざまな要因が絡み合って起きている薬不足。武見厚生労働大臣の製薬会社への要請も、 「表面的なもの。根本的な問題を解決しないと国民皆保険を維持していくのはむずかしい」 とS氏は手厳しい。 海外との薬の取り合いが激化した際、買い負けないようにするためには製薬業界への補助金を増やしたり、日本を海外の製薬メーカーから見て魅力ある市場にするための政策が必要だと思われる。 1年ぽっきりの減税に予算を使っている場合ではないのかも。 取材・文:中川いづみ
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