<フィギュア>新女王トゥクタミシェワと日本勢の差は埋められるのか?
現在のロシア勢の強さの裏には、旧ソ連時代の指導者が郷帰りを果たして、ジュニア世代を育てていることにある。その世代を競争させて勝ち抜いた選手をエリート教育していく。またロシアでは、オフアイスのトレーニング、特にフィジカルとロシアの伝統とも言えるバレエのレッスンなどのレーニングも徹底されている。そこで表現力が磨かれるという環境が、次々と世界トップレベルのスケーターを誕生させている背景にある。 「ジャンプに関しては、ロシア独特の指導、練習方法に秘密があると言われていますが、明らかにはなっていません。世界レベルで女子についてはロシア勢に対抗できるのは日本しかないのですが、練習量で、その差を埋めていくしかないのでしょう。世界選手権で宮原さんが2位に入って世代交代が始まりました。ジャンプに高さが生まれ、この数ヶ月で目に見えて成長しています。またジュニアの樋口さんは、練習の中で4回転にチャレンジしているとも聞きます。期待される日本の若手は、ジャンプの安定、正確性を追及するだけでなく、今後は、トリプルアクセルに取り組んでいかなくては厳しいでしょう」 中庭氏が3年後への可能性を秘めた選手として名前を出したのは、宮原と世界ジュニアで3位に入ったホープ、樋口新葉(14歳、日本橋女学中)、4大陸選手権で6位に入った永井優香(16歳、駒場学園)の3人。トリプルアクセルよりも4回転トゥーループのほうが技術的に取り組みやすいと考える選手も少なくないため、樋口は、安藤美姫以来、誰も跳んでいない4回転ジャンプに挑戦しているという(安藤が成功させたのは4回転サルコー)。 宮原も、3年後の表彰台を見据えてトリプルアクセルの必要性を感じている。トリプルアクセルの必要性を問われると「以前は練習していましたが、(試合で使うには)もっと練習が必要です。いつかプログラムに入れられればと考えていますが」と話している。 日本勢の一歩先を行くトゥクタミシェワも、「この競技は、どんどん進化していきます。これからは多くの選手が3回転半を跳ぶと思うわ。立ち止まってはいられません。将来は4回転を跳ぶ時代が来るのかもしれないわね。」と、さらなる成長に挑んでいく考えを明らかにしている。 3年後の韓国で、才能と努力を兼ね備えたロシアの新女王を脅かすのは誰になるのだろう。