<フィギュア>新女王トゥクタミシェワと日本勢の差は埋められるのか?
先の世界選手権で浅田真央以来となる史上6人目のトリプルアクセルを決めて優勝したのは、ロシアのエリザベータ・トゥクタミシェワ(18)だった。 16日から始まる国別対抗戦にもエントリー、日本勢の大きな壁となって立ちはだかる。世界選手権で宮原知子(17歳、関西大)が銀メダルを獲得したが、トゥクタミシェワとの得点差は、16.76点。その差は、どこにあって、3年後の平昌五輪までに埋まる可能性はあるのだろうか? トゥクタミシェワは、14歳でGPシリーズに衝撃デビュー。2大会で優勝して天才少女と騒がれたが、肉体の成長に伴う競技バランスに苦労しながらスランプに陥り、ソチ五輪の国内代表選考会を兼ねたロシア選手権では、ショート、フリーで転倒、10位に沈んでソチ五輪のロシア代表から漏れた。その晴れの舞台では、同じ年のライバル、アデニア・ソトニコワが金メダルを獲得した。 「困難な時期があったからこそ、強くなれたと思うの」 負けず嫌いのトゥクタミシェワは奮起した。2014-2015シーズンにグランプリファイナル、欧州選手権、世界戦選手権で優勝して完全復活。安定したジャンプの技術力アップと共に、18歳とは思えぬ妖艶な表現力が増した。 独特の指の使い方が、「不思議」とファンの間でも話題になるほど。そこにトリプルアクセルという必殺技を身につけたのだから、新女王として向かうところ敵なしの存在感がある。人材豊富なロシアから3年後に誰が出てくるかわからないが、その新女王に日本勢が太刀打ちするのは並大抵ではない。 元全日本2位で現在インストラクターの中庭健介氏は、こう言う。 「トゥクタミシェワ選手は、世界選手権のショートでトリプルアクセルを成功させました。フリーでは入れませんでしたが、おそらく冒頭に一回跳ぶショートと違ってフリーでは最初からトリプルアクセルを入れないことを前提にプログラムが組まれ、演技構成がなされているので入れなかったのでしょう。来シーズンは間違いなくフリーにも入れてくると思います。そうなるとトリプルアクセルの基礎点は高いですから、ますます日本勢との差は開くことになってしまいます。女子の場合は技術点が重要で、ジャンプの良し悪しが大きな影響を与えていきます。これから女子は、3回転半の時代に入っていくでしょう」